「ジャッキー」 第14章 by Scribler
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これまでのあらすじ
ジャックは妻アンジーの浮気現場を見てショックを受け、彼女と知り合った頃を回想する。彼は法律事務所のバイト、アンジーはそこの上司。仕事を通じ親密になった二人は交際を始め、その過程でジャックは女装の手ほどきを受け、ジャッキーと名付けられる。ジャッキーは女性として、アンジーにアナル開発され、オーガズムに狂う。やがて二人は同棲を始め、バレンタインデーの翌日、アンジーはジャッキーに結婚を申し込み、ジャッキーもそれを承諾する。最初は幸せな結婚生活だったが次第にアンジーの変調が目立ってきた。尾行したジャッキーはアンジーが他の男に性奴隷のように扱われているのを目撃する。その事実をアンジーに暴露すると、彼女は泣き崩れたのだった。
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アンジーは、涙を武器に使ったことはなく、ワニの涙(
参考)すなわち嘘泣きをするような人ではない。もっと言えば、僕は彼女が泣くのを見たことがほとんどない。あったにしても、いつも、苦痛など現実的に泣く理由があった。
手で涙をぬぐいながら言う。「あれを見てしまったのね。ごめんなさい。でも、たとえどんなことを見たとしても、私が愛する人はあなただけだと分かってほしいの。あなたが見た、私の行為は愛とはまったく関係がないこと。もっと言えば、毎回、あの切望に負けてしまうたびに、自分自身に吐き気を感じているの」
アンジーが何のことを言ってるのか理解できず、訊き返した。「あんなことをするなんて、どんな切望なんだ? 大きなペニスに犯してもらいたいという動物並みの欲望なんだろ? それに、ずっと前から他の男を愛人として抱えていたのだったら、どうして、そもそも僕に結婚を申し込んだんだ?」
アンジーは立ちあがり、僕に近づき、僕の手からグラスを取った。
「お願い、ジャック。あの男のことを愛人なんて呼ばないで。彼にはいかなる意味でも、まったく愛情を感じていないの。あなたが信じたいと思うかどうか分からないけど、私の真の愛はあなただけなのよ。あなた、ただ一人なの」
そう言って彼女はグラスを一気に飲み干した。
僕は何をバカなことをと笑い出したかったが、笑いを堪えて言い返した。
「そんなふうに平気で嘘が言えるなんて、よくできるものだ。君はあの男の前にひざまずいていたんだよ。ペニスを押し込まれた途端に、即、逝きまくっていた。前に、セックスでは逝けないって言ってたよね? 確かに、君は僕とでは逝けなかった。多分、大きさの点で僕のアレがあの男のに敵わないからなんだろ?」
アンジーは小テーブルに腰を降ろし、自分でウイスキーをグラスいっぱいに注いだ。「確かに、特別な場合でなければセックスでは逝けないとは言ったわ。でも、あなたは私の感情にそんなに無神経になれる人ではないはず。それには、大きさなんかほとんど関係ないのに…」
言い返そうとしたが、そうする前にアンジーは一気にウイスキーを飲み、話しを続けた。「…私が17歳の時だった。ダンと1年近くデートしたの。あなたが見た男がダンよ。ともかく、ダンは、デートするといつも私をぼろぞうきんのように扱った。最初から最後まで。愛し合ったことは一度もない。ただのセックスだけ。ダンは、私がオーガズムを感じたかどうか、まったく気にしなかったし、私の身体がセックスできる状態かどうかすら気にしなかった。生理の時ですら私を犯したわ。そんな時ですら、ダンは私の身体を使い終わると、私の口にペニスを突っ込んで、後始末をさせる…」
アンジーはまたもグラスにウイスキーを注いだ。3杯目だった。「…私は、そんなセックスを楽しんだことはなかった。だけど、それにもかかわらず、次第にそこからオーガズムを得るようになっていったの。ひどく病的なことを言っているとは思うけど…。セックスでオーガズムは得られないと言ったとき、私が意味していたのはそのことなの。安淫売のように扱われないと、逝けなくなったのよ。ダンはそんな私を知っているし、私がそんなふうにされるのを望んでることを喜んでいる。たとえ、ロールプレイでも、私にはダメなの。相手が本気で私のことをぼろぞうきんのように思っていると実感できて、初めて逝けるの…」
「そんなに嫌なら、どうして、あいつと会い続けるんだ?」
また、アンジーの目から涙が流れ始めた。今度はいつまでも涙が止まらないように見えた。
「私にも分からないのよ…」 泣きじゃくりながら続ける。「私も頑張ったわ…。でも…、でも止められないの。虐待されるのを切望しているようなもの。辱めを受けたいの…。いたぶられたいの…。ダンにやらされたことの数々…、それを聞いてもあなたには信じられないでしょう……」
「…初めてダンのもとに戻った時、私はバーに呼び出された。そして、そこでダンの仲間たち全員の前で乞食みたいにおねだりさせられたわ。みんなの前で売春婦のように私を犯してくださいと言わせられた。ダンは私を男子トイレに連れて行った。私は、汚い床にひざまずかせられ、その場でフェラをさせられた。そして、小便用の便器に顔をくっつけんばかりにして、便器につかまる姿勢を取らされ、後ろから犯された。乳首にピアスをしてるのもダンの命令から。決して外してはいけない。ダンは、知りあいを呼び出しては私を犯させた。それは今も続いている。時には街でひろった赤の他人を連れてくる時もあるの…」
アンジーはまた一気にグラスを空にし、続けた。「…病院にも行ったけど、全然、役に立たなかった。医者に処方された薬ですら、それを飲んでも、もっといたぶられたいという気持ちを高ぶらせることにしかならなかった。そして、今は、とうとう、ダンのためにあなたまで失おうとしている…」
アンジーはさらに激しく泣き始め、言葉はしどろもどろになっていた。僕はアンジーのことが哀れに思え、両腕で抱きしめた。アンジーは僕の肩に顔を埋めて泣き続けた。30分は泣き続けて、ようやく泣きはらしたようで、顔をあげた。
「ごめんなさい。あなたをこんな目に合わせてしまって、本当にごめんなさい。心からこんなことはやめたいと思ってきたけど、でも、どうしてもやめられないの。あなたが私と別れたいと思っても、仕方ないわね…」
すでに、この時までには、僕の怒りは完全に消え失せていた。あるのは腕の中にいるこの女性に対する愛情だけになっていた。
「君と別れたいなんて思っていない。これまでも、そして今も。君があいつと会うのを自由にさせていたのは、僕の不注意でもあるし」
アンジーは少しだけ笑顔になった。何時間ぶりだろうと思えた。
ジャッキーがいちばんたのしみです
[2013/02/22 23:34]
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ありがとうございます。この後の展開はアレアレ?ということになるかと思います。遅れ気味の更新ですが、どうか気長に。
[2013/02/26 21:53]
ashe
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