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裏切り 第10章 (12) 


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ゲイ・レザー・ページェントの事件については、チームからは何ら公式的な言及はなされなかった。それに、地元のメディアでも、あの事件についての説明は名さえrなかった。ジェフ・スペンサーは、鎮痛剤に依存した状態から回復するためにリハビリを行うことになり、たぶん、今期のトレーニング・キャンプには参加しないだろうという発表があった。

しかし、もちろん、あの事件のことはゲイたちのコミュニティには知れ渡っていたし、それは、とりもなおさず、シカゴ中に知れ渡っていたことを意味する。地元のラジオのスポーツ・ショーやトーク・ショーへは電話が殺到し、その電話交換機は、何週間も、クリスマス・ツリーのように点滅し続けた。その後、公式アナウンスがあった。残念ながらチームはジェフ・スペンサーとの契約を取り消すことにすると。「モラル」の点で違反があったとして。

そういった広報関係でのトラブルの後、スーザンはチームのフロントを去り、シカゴからも去った。「双方同意の元」とのことである。思うに広報関係の仕事をする人は野球のマネジャと似たところがあるようにも思う。スーザンはシカゴを去った後、1週間もせぬうちに、マイアミの組織と契約したのだった。

多分、スーザンがシカゴを去る荷造りをする前から、すでにその契約が成立していたのじゃないかと私は睨んでいる。マイアミは将来有望な新進のクオーターバックを獲得していた。カリフォルニア州立大を出て3年ばかりのジェイク・プレスコットである。チームは彼を伝説的なダン・マリノの再来になる選手と信じていた。ジェイク・プレスコットにはすべてが備わっていた。ボビー・ダグラス並みの体格と、競走馬並みのスタミナ、鷲のような目、それにライフル銃のような攻撃力。スポーツ記者たちはこぞって彼を次世代の巨人ともてはやしていた。スーザンと知り合いであった彼は、すでにその地位を保証されていたと言える。

2ヶ月ほど後、シカゴ・トリビューン紙の3面に小さな記事が載った。デ・モイン警察が、元アメフト・スター選手でシカゴのスポーツ界の伝説的な選手であったジェフリー・グレン・スペンサーが銃で撃たれて死んでいたことを調査しているという記事である。死体は、デ・モイン中心部のホテルの一室で発見された。スペンサーは、発足したてのコンチネンタル・フットボール協会に属するデ・モイン・デーモンズのチームでカムバックをしようとしていた。警察の報道官は検死の結果はまだ出ていないと言ってるが、予備的検死に当たった調査官によると、致死に至ったのは自ら行った行為によるものである可能性があると言うことである……。


[2015/01/14] 本家掲載済み作品 | トラックバック(-) | CM(2)

早く終わらせて

開いている時間で良いので終わらせていただけませんか。
[2015/06/04 19:27] koo [ 編集 ]

お待たせして申し訳ございません

kooさん、お待たせしました。

本日、最後まで訳しました。これでこのストーリーは完結です。
ご声援ありがとう。



[2015/07/14 16:04] Ashe [ 編集 ]

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