アンドリューの話ドニーとディ・ディは、二人とも、セックスに対して実に甘美で、実に間接的でありつつ率直な接近の仕方をする人だ。ディ・ディが僕に、緊張感を「昔ながらのやり方で」解放させたいと思ってるか訊いてきたのが水曜日。もちろん、彼女は僕にセックスをしたいか訊いていたのである。その率直さに、僕は吹っ飛んでしまった。彼女はあいまいにごまかした言い方など最初から考えていない。
そして今度はドニーだ。彼女は、僕が悩み話を語っている間ずっと誘惑的に僕を焦らし続けていたのだが、突然、僕にクンニリングスをして欲しいと切り出してきた。言葉は間接的だったが、意味はそのまんまだ。実に巧妙な誘い方だった。まるで馬の前にニンジンをかざすように、彼女たちが僕に隠している秘密を餌にして誘ってる。
ドニーは、本当は僕に話したいに違いない。だけど、僕に無理強いされて話したという形にしたいのだろう。ドニーは、昨日の夜どのようにして僕がディ・ディに告白させたかを知ってる。それは確かだ。僕は舌を使ってディ・ディに告白させたのだ。実に興奮するひと時だった。
あれは何だったんだろう? ドニーが事実上、私に拷問をかけて秘密を聞き出したらどうなの、と僕に挑んできたとき、あの時のドニーの瞳に浮かんだ表情は何だったんだろう? 笑った目をしていた。でも僕を笑ったのではなく、彼女自身が楽しんでることを笑っているような目をしていた。この双子姉妹の持つ、何とも言えない自然でユーモラスな振る舞いは、本当にセクシーだ。
僕たちは知的な会話をしていたところだったのに、いきなり彼女は無造作にクンニリングスの提案をした。そしてその瞬間、僕は完全にエッチな気持に心を奪われてしまったのだった。
僕はドニーにキスをした。それから彼女を抱き上げ、寝室へ向かった。僕は前戯の部分はすっかり頭から消えていたと思う。
わかったよ、ドニー。拷問をかけてやる。見てるがいい! どうかご慈悲をと懇願させてやるから、そのつもりで。もう僕は待てないんだから。
ドレスのホックとチャックを見つけた。ドレスが彼女の肩からするりと落ちた。次の瞬間、彼女はブラジャーとパンティとストッキングだけの姿になっていた。
ああ、なんて美しいんだ! これ以上、柔らかな肌などありえない。身体の丸みを帯びた部分も柔らかい。この女性のすべての部分が、柔らかく、官能的で、喜ばしい。
はっきりとではなかったけれど、今朝、忘れずにベッドをちゃんと整えていて良かったと感じていた。今夜ディ・ディをアパートに連れて来るなんて考えもしていなかったし、ましてや、このドニーについては、僕に関する限り、そもそも存在すらしていなかったのだから。
だけど、今この場所で、僕は、このファビュラスな、本当にファビュラスな生き物と一緒にいる。しかもこの生き物は、僕と愛し合うつもりでいる。そう、愛だ。身体の欲望はほとんど抗しがたいほど圧倒的だが、でも、事実としては、僕は彼女を愛しているということだ。僕は今夜6時45分にドニーと初めて会った。そして今10時30分には気が狂わんばかりに彼女を愛していた。これをどう説明する? やっぱり化学的誘引子が関わってるとしか思えない。
ブラジャーのホックを外した。これは得意な技だ。高校時代に独りで練習したから。ホックを外すと、あの丸くて柔らかい、完璧といえる胸が現れた。自由に触れる。ドニーは、柔らかくて対称的な白い乳房をしていた。その頂点には小さな濃い肌色の乳首。とても柔らかな乳房。軽やかに漂うように揺れている。
僕はもう一度彼女を抱き上げ、ベッドの上に寝かせた。今度は、僕は、彼女に初めて出会ったときとは違って、自分自身をコントロールする能力を取り戻していたようだ。少なくとも、あの時の、猿みたいなセックスを繰り返すのを避けるだけのコントロール能力は持っていたようだ。
ああ、だが、これから僕たちは猿セックスをすることになるだろうな。それは間違いない。でも、まずはドニーに告白させるつもりだ。ドニーも舌が欲しいのかな? だったら、今まで経験しなかったような舌を味わわせてやる。
僕は自分の服を脱ぎ、床に放り投げた。服がどこに飛んで行ったかなど分からないし、気にもしない。
それから彼女の隣に横になった。ドニーは僕の身体にぴったりと身体を合わせて間と割りついた。二人、キスをして、少し抱き合った。
「話すつもりはないの? 本当に? 何か賭ける?」
ドニーの瞳の灯りが点灯した。これは遺伝的な印か一族の共通の性質に違いない。あるいは単に僕の頭がおかしいだけかもしれないが。
「ディ・ディに約束したもの。あなたが何をしようとも、それについては一言も言わないって」