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ポルノ・クイーンの誕生 最終章 (20) 


私は自分の部屋に戻りシャワーを浴び、午後の撮影に備えて丹念に洗浄を行った。身体を清め、メーキャップもなおした後、昼食を取りに下のロビーに行くことにした。

部屋を出ると、ちょうど同じくトレーシーも部屋から出てきたところだった。トレーシーは私の姿を見るとすぐに、両腕を広げて見せ、私は近づいて、彼女の腕の中に飛び込んだ。二人抱き合いながら、しばらくキスをした。

トレーシーは、私の唇から唇を離すと、こう言った。

「今朝はどうだった? 万事順調だといいけど?」

「そう思います。マークは、どこもまずいところがないような様子だったから」

二人でエレベーターに向かって歩きながら話しをした。

「問題はなかったみたいね。それで、午後のシーンについてだけど、改めて、やりたいという気持ちになってるかどうか? 私もマークも、あなたには義務でやるというふうに思ってほしくないの。取りやめにするのは、今からでも遅くないのよ?」

「そういうふうには、全然感じていないんです。やってみたい。そのことについてはずいぶん考えてきました。今は、試してみたいと本当に思ってるんです」

二人でエレベータの前に来て、エレベータが来るのを待っていた。トレーシーは私の額にキスをした。

「そういう気持ちでいてくれて、嬉しいわ。それで、今夜のことなんだけど、マークが、私に、あなたを今夜、私たちのベッドに招待してくれって言ってたの。でも、ビリーと予定があるなら、断ってくれてもいいんだけど」

私は、ビリーとよりもトレーシーとマークとベッドに入る方が、ずっと好きだった。誤解してほしくないのだけど、ビルとのセックスはとても楽しんでいる。だけど、マークとトレーシーと一緒のセックスは、それよりはるかに楽しいのだった。

「今夜あなたがたとベッドを共にする栄誉を嬉しく存じ上げますわ。今日は早めに撮影が終わるといいわ。そうなれば一緒に過ごす時間が長くなるから」

私の大げさな言葉遣いにトレーシーは、アハハと笑い、私をもう一度抱きしめた。「今夜は、マリアとヘレンにビルをもてなすしてもらえるかもしれないわね。彼のような良い男が欲しいと思ってる女の子は、ここには他にもいることを教えてあげましょう」

マーク、ビル、トレーシー、ヘレン、マリア、そして私の6人でランチを食べた。前もって計画されていたのかどうか、私には分からないけど、マリアとヘレンは、食事の間、ずいぶんビルを喜ばせていたようだった。食事が終わって、ビルが立ち上がりエレベーターへ向かっていった時、彼のズボンがかなりきつそうになっているのが見えた。

ランチの後、メーキャップ室に行き、パティに私の最初のセックスシーンに備えてお化粧を整えてもらった。その時点までは、少しもナーバスな気持ちにはなっていなかったのだけど、なぜか、急に両手が震えだして止まらなくなってしまった。

パティは私がナーバスになっているのを見て、言った。

「おバカさんね。心配する必要はないわよ。あなたは、ただ、流れに任せるだけでいいの。そうすれば素敵なシーンになるはずだから」

パティにありがとうと言うと、トリキシーもメーキャップ室に入ってきた。トリキシーは化粧直しを終えると、私の手を握った。

「さあ、行きましょう。二人で奇跡のシーンを演じるのよ!」

私は、ただトリキシーについて撮影へ向かうだけだった。

二人でエレベータに乗り4階に向かった。エレベータの中、トリキシーは私を両腕で抱きしめた。

「マークに、私があなたと一緒のシーンを撮影すると言われた時、私、びっくりしたのよ。だって、あなたがTガールだったとは思わなかったんですもの。ホテルの中を歩いてるあなたはよく見かけたわ。でも、あなたは本当に女の子だとばかり思っていたのよ」

私は、ありがとうと言うほか、何と言ってよいか分からなかった。トリキシーにも、本当の女の子に見えると言おうとしたけれど、それを言う前に彼女が話しを続けた。

「ほんと、見慣れた人が見れば、私なんか、一瞬で男だって分かってしまうもの。でも、あなたの場合は、それはないって思うわ。だから自信をもってね。あなたはただリラックスして、撮影を楽しむだけでいいの。私も、この撮影が楽しいものになるはずって確信してるのよ」

私はトリキシーにキスをしたくなって、顔を寄せた。けれどトリキシーは、私を制した。

「ダメダメ、カメラの前に行く前に、お化粧が台無しになってしまうわよ」

4階に着き、警備員のチェックを受けた後、マークに会った。彼は、私たちが待機することになっている部屋の外に立っていた。マークは私を抱き寄せ、額にキスをした。


[2010/02/19] 本家掲載済み作品 | トラックバック(-) | CM(0)

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