マリイは、イサベラの愛らしく無垢な顔が苦悩で歪むのを見ながら、もう一方の肩に掛る細い肩紐をゆっくりと外した。
「や、やめてください… 」
冷たい指で柔肌の乳首を優しくつねられ、イサベラは喘いだ。指は、はやく固い突起になれと、せかしているようだった。
マリイはイサベラの小ぶりな乳房を手で覆った。イサベラはびくりと身体を震わせた。
「イサベラ? お前は何をしてくれるのかな?… そのあさましい秘密をばらされたくはないのだろう?」
「な、何を…」 とイサベラは息をのんだ。
マリイの愛撫から逃れようと、一歩、引き下がり、身体を離した。だが、マリイは執拗に身体を寄せ続けた。ベッドの裾へとイサベラを押し続ける。
「何を私に求めているのです?」
「ほんとに柔らかいのに張りがある…」 マリイは、つんと立ったバラ色の突起を弄びながら呟いた。「こんなに美味しそうなのに… お前をお仕置きしなければいけないのが残念だわ」
「お、お仕置きって?」
突然、マリイがイサベラの乳房を強く握った。イサベラは甘い痛みに、ああんと、か弱く泣き声をあげた。
「ううむ… お前が私にした仕打ちの償いをしてもらうよ… 」
イサベラはマリイが邪悪そうに笑うのを見て、唾を飲み込んだ。
「後ろ向きになって、そこのベッドの柱につかまるんだよ。良い子になっておとなしくね!」
イサベラは恐れおののき、マリイの目を見つめた。恐怖のあまり身体が動かない。
「さあ! 言われたとおりにするんだ! さもないと、お前に守備兵全員を相手に、身体で奉仕させてもいいんだよ!」
イサベラは固く目を閉じ、言われたとおりにした。絹のシュミーズを腰のところで掴まれ、強く引っ張られた。イサベラの唇から、か弱い泣き声が漏れると同時に、細い肩紐が引きちぎれ、シュミーズは足元に落ちた。
次に何をされるかと震えるイサベラの背後、マリイは、イサベラの肩に掛る長い赤毛をふり払い、クリーム色の滑らかな背筋と、誘うような曲線が艶めかしい双臀の丘をあらわにした。
イサベラは、後ろで何かがヒュッっと音を立てるのを聞いた。次の瞬間、背中の柔肌をピシッっと鞭のようなもので打たれ、熱く焼かれる痛みが走るのを感じた。
痛みに息がとまり、両膝ががくがくと震える。だが息継ぎをする間もなく、再び空気を裂く音が聞こえ、またも鋭い痛みが背中を走った。鞭が走った跡には、じりじりと燃える痛みが残る。
このお仕置きが続く間、イサベラはベッドの木製の柱にしがみつきながら、必死で耐えた。涙がぼろぼろ頬を伝い、悲痛な叫びが小部屋を満たした。
痛みのあまりイサベラは意識を失いかけていたのだろう。彼女は、部屋の扉が音を立てて開き、彼女の父親が雷のような轟音を立ててマリイを罵り、彼女の手からベルトを奪い取ったのには気づかなかった。イサベラは、父親が、彼女を優しく抱え上げ、赤く腫れた皮膚が触れぬようにと、ベッドにうつ伏せに寝かせた時、かろうじておぼろげに意識があった。父親は彼女の髪を優しく撫でた。
「どうか、私の子を傷つけないで…」
イサベラは薄れかける意識の中、そう呟いた。そして、それを聞いた父親が身を強張らせたことに気づかなかったのだった。
「寝がえりをうち、自分で傷つけたりせぬよう、娘の身体を縛りつけよ」
父親は、近くにいた手下に、怒鳴りつけるような勢いで言い、暴れるマリイを引きずりながら部屋から出た。
「メイドを一人あてがい、娘の世話をさせるように」と別の手下に命じ、怒りに燃えた恐ろしい目つきでマリイをにらみつけた。
「イサベラが血を流すほどまではしなかったことを幸いに思うことだな」
* * *