自転車に乗り、家に向かいながら、俺は自分がかなり疲れていることに気づいた。明日の朝は、宅配業者に電話してグラフ先生に小包を配達してもらうことにしていた。早く寝た方が良さそうだ。
マンディとセックスをしていて思ったことだが、俺はやっぱりグラフ先生の身体の方が燃えると思う。ともあれ、はっきりしてることが一つある。明日は、グラフ先生をあのクラブに引っ張りだすということだ。
家に着き、自転車を置き、音がしないようにこっそりと裏から入り、二階の自分の部屋に戻った。
ポケットからマンディのパンティを出し、もう一度、鼻に当て吸い込んだ。きついフェロモンで、俺はまたも勃起していた。
クローゼットを静かに開け、グラフ先生の下着とケイトの下着を入れてある箱を取り出し、マンディのGストリングもそれに入れた。箱を戻し、先に立ちあげておいたパソコンに向かった。メールをチェックする。案の定、グラフ先生からメールが来ていた。
「ご主人様、命令されたとおりのことをいたしました。今夜は、ろうそくだけを灯して、バブルバスに長くつかり、どうして私がご主人様に支配されるのを許しているのか、その理由を考えました。そして、私は、私自身がその理由であるという結論にたどりつきました。ご主人様が私の秘密を握ってるために、私が支配されているというのもあります。でも、もうひとつ、もっと深い理由があるのです…
「…私はとても厳しい両親の元で育ちました。父が軍人だったこともあり、家の生活は非常に細かく管理されていた。食べる時も、寝る時も、くつろぐ時も、どんな時も、命令されることに慣れて育ったのです。そして私は教師になり、再び統制がきいた状況にいたのです。学校のシステムも教室の状況もきわめて厳しく管理されています。どうやら、私はそういう環境でないと生きていけないように思います…
「…でも、この家はそういう環境になっていません。勘違いしてほしくないのですが、夫のことは愛しています。ですが、夫はとても寛大なのです。何も決まりを作らず、私にも何をせよと命令したことは一度もありません。それに対して、ご主人様はとても厳しく、私を管理してくれる。ご主人様に命令されると、たとえそれがどんなことでも、それをしなければいけないという気持ちになるのです…
「…私がご主人様の倍は年上であることは知っていますが、私はご主人様のものになり始めている気持ちになっています。ご主人様に、少しずつ私を所有されていく感じ… 夫のもとから私の所有権を奪っていく感じなのです。身体ばかりでなく、心の面でも」
先生が感情を一気に吐き出したことに圧倒されていた。ゆっくりとだが、グラフ先生を俺のものにしつつある。俺のことを必要に思っているようだ。それに俺の方も先生が必要に感じ始めていた。
俺は、少し考えてから、返信のクリックを押した。
「お前が、俺を愛するご主人様として認め、受け入れることは、これからお前が享受する喜びの始まりに過ぎない。お前の態度が非常に満足したので、お前に贈り物をすることにする。明日の朝、宅配業者を通じて、お前に配達しよう。だが、命令があるまで開けてはいけない。旦那に見つからないところに隠すように。箱の上には別の手紙が張り付けてある。小包を受け取ったら、その手紙を開けて、中の指示に従うように。指示に従わなかった場合、どういうことになるかは知ってるはずだ。小包を受け取ったら、俺にメールし、指示を読むように。ご主人様より」
疲れていたので、俺はすぐにパソコンのスイッチを切り、服を脱いだ。ベッドに横になり、今夜のことについて考えた。すごい一日だった。自分でも、クラブ・カフスに中毒になっていくような気がする。
寝がえりを打ち、トリスタのことも考えた。時計を見ると、もう1時半になっていた。今この時も、何ブロックか先のあの場所では、卑猥なメイン・イベントが進行中なのだ。とはいえ、やはり想いはトリスタに戻った。そして、いつしか俺は眠りに落ちていた。