トレーシーが浣腸器を外し、僕がバッグに洗浄液を入れなおした後、彼女は僕が立っているところにやって来て、僕の体を両腕で抱いた。2分ほどキスをしていたが、ふと、彼女の両手が僕のズボンの腰のところに来るのを感じた。そして、次の瞬間、僕はズボンを足首まで降ろされてしまったのだった。僕には反応する隙さえなかった。
トレーシーは、サテンの下着に覆われた僕のお尻をいじり始めた。
「さあ、今度はあなたの番よ。怖がらないで。最初はちょっと痛いかもしれないけど、2、3回すれば、私と同じように楽しめるようになるから。それじゃあ、後ろを向いて。カウンターに両手をついて、腰を曲げて」
僕は、したくないと言おうとしたが、彼女は僕の唇に人差し指をあてて、僕を黙らせた。そして、僕の体を反転させた。カウンターの方を向いた僕の背中を押し、腰を曲げさせる。その直後、彼女の指が僕の肛門を触れるのを感じた。指には潤滑剤が塗ってあって、ヌルヌルとしていた。その彼女の指の1本がぬるりと僕のアヌスの中に入ってきた。
あまりに突然の挿入に僕は驚いた。でも、中に入ってきた彼女の指の気持ちよさにも驚いていた。その1本指にようやく慣れてきたかと思った瞬間、彼女は2本目も入れてきた。アヌスが広げられている感覚があったが、同時に気持ちよさも感じていた。トレーシーの2本の指が僕のあそこに出たり入ったりを繰り返している。
彼女が指を押し入れてくるのに合わせて、僕は喘ぎ声をあげ始めていた。
「気持いいんじゃない? 可愛いわ あなた、私の指をお尻に入れられるのが好きになってきてるんでしょう?」
「・・・はい」
僕は嘘をついてはいけないと言われている。僕に言えることは、それだけだった。トレーシーは、そんな僕を笑ったりはしなかった。ただ、指の出し入れを繰り返すだけ。次第に力を強めてきてた。
2分ほど、トレーシーの指にアヌスをほぐされていたと思う。突然、彼女は指を引き抜き、代わりにノズルを差し込んできた。彼女の2本指に比べるとノズルは細く感じられ、実際、たやすく僕の中に滑り込んできた。でも、長さはノズルの方が長いのは確かだった。トレーシーは自分自身にしたときのように、一気に全部押し込むようなことはしなかった。少しずつ押し入れ、ある程度の深度に来ると、一旦抜いて、また押し戻す。ペニスを挿入されることというのは、こんな感じなのだろうなと思ったし、ゲイの男たちがこれを好きなのも分かるような気がした。確かに、感じるのだった。さほど時間が経たないうちに、彼女がノズルを押し込むたびに僕は喘ぎ声を上げていた。
突然、トレーシーはノズル全部を僕に押し込んだ。次の瞬間、温かいお湯が流れ込んでくるのを感じた。最初は、予想に反して奇妙なほど快適で、その感覚を気に入っていた。だが、何分か経つと、その快適な感覚が消えてしまった。次第に下腹部が痛くなってくる。
苦痛を訴えたが、彼女はそれを聞かなかった。
「分かるわよ。最初の何回かは、そんな感じになるものなの。でも、一度、その感覚に慣れてしまえば、私と同じくらい、あなたも気持いいと感じるようになるはず。だから、今は、耐えて」
僕はリラックスして、耐え続けようとしたが、やはり腹部の痛みは大きく、バッグの中の液体が空になる頃には、目に涙が浮かんでいた。立ち上がると余計に腹が膨らんでいる感覚が募り、痛みはいっそう激しくなった。トレーシーは僕の唇に軽くキスをし、トイレに行ってもよいと言ってくれた。僕がトイレに行くのと同時に彼女は浴槽に入っていった。彼女が僕についてトレイにこなくて幸いだった。便器から立ち上る臭気は恐ろしいほどだったから。
すっかり出し終え、ズボンも履きなおした後、浣腸器のバッグを戻しに洗面台に戻った。僕は、もう、これで済んだと思っていたのだが、トレーシーはそうは考えていなかったようだ。
彼女はバスタブの中、横目で僕を見て言った。
「スティーブ? 今回、初めてなんだから、あなたがちゃんときれいになったかどうか怪しいわ。念のため、もう1回してちょうだい」
前に僕は、トレーシーが自分自身で浣腸をするところを見て、ひどく恥ずかしく感じたと言った。だから、このとき、僕がどれだけ恥ずかしく感じたか、想像できると思う。それを行う僕を、トレーシーがずっと見ていたのが分かっていたから。彼女には背を向けていたのだが、鏡の中、彼女が僕を見ているのが見えていたのである。さらに悪いことに、これを行っている間ずっと、僕は激しく勃起を続けていたのだった。それではまるで、浣腸を行いながら、それに変態的な快感を感じているように見えていたから。
そしてようやく2回目の浣腸も終わる。
「オーケー。じゃ、寝室に戻ってベッドを直しに行って。それが終わったら、こっちに戻ってきて、私のお風呂上りの支度を手伝ってちょうだい」