すでに限界まで興奮していたブルースは、限られた役割でもしかたないと諦めて、リンダの指示に従い、シーツの中にもぐりこみ、彼女の脚の間に位置取った。シーツに覆われた、いわば、密閉された狭い空間のため、リンダの身体から立ち上る性的な匂いに、ほとんど気絶しそうになる。
ブルースは、暗闇の中、唇を使ってリンダの女陰を探し始めた。太ももの内側にキスをしながら徐々に這いあがって行く。唇が彼女の陰部に触れたが、そこはすでにびしょびしょに濡れていた。ブルースは舌を平らに延ばして、妻から出てくる愛液をピチャピチャと舐めはじめた。彼は、そうすることで、むしろ前よりも興奮が高まってくるのを感じていた。
「そうよ! その舌使い。あなたも、したかったのが分かったでしょう?」
確かにリンダの言う通りだった。ブルースは、こういう形に限定されているとはいえ、自分の妻と何らかの性行為をしたいと切に願っていたのは事実だった。
そして、前のときと同じくこの時も、ブルースは、ほんの数時間前に、いま自分が舐めている妻の女陰に知らない黒人男のペニスがねじ込まれていた事実を痛いほど認識していた。やはり、今回も、自分は、妻が投げてよこす使い古しを享受するだけの部外者にすぎない。だが、何としても、自分は決して嫉妬しているわけでも狭量なわけでもないことを証明しなければならない。たとえどんなことであれ、妻を喜ばせたいと思ってることを示さなければならない。
「ああ、いい! やめないで。今日は、私はすごいセックスをしてもらったの。気持ち良かったわ。彼、とても大きくて… 私の中にあんなに深くまで来た人は彼が初めて… 天国に登ったような気持ちだったわ…… それにね、あなた? 私、彼に抱かれながら、もっと、もっとって、おねだりまでしてたの。本当に! もっと強く、もっと深く、お願いって… お願いします、私の中に出してくださいって、嬉し泣きしながら叫んでたの」
ブルースは、その光景が目に見えるような思いだった。知らぬ間に、いっそう興奮してるのに気づいた。舌を思い切り伸ばし、荒々しいセックスからいまだ腫れが引いていないリンダの陰部に深く突き入れた。
だが、彼は、できる限り奥へと舌を伸ばしても、目的の場所には、まだ15センチ以上は足りないのを知っていた。その場所は、自分には、舌でも指でも、そしてペニスでも、どうやってもじかに触れることができない領域なのだ。触れることができるのは、あの男たちだけなのだ。
リンダは、やがて、腰を突き上げ始めた。ブルースの髪を握り、頭が動かないようにがっちりと押さえつけたまま、かなりの力で彼の顔面に股間を突き上げる。この時点で彼女はすでに、ブルースの顔を快感を得るための単なる道具として使っていた。頭の中では、ついさっき経験した本物の男根のことしか思っていなかった。
だが、オーガズムが近づくにつれ、リンダは、夫をこんなふうに使っていることに淫らな喜びを感じているのに気がついた。
これまで、ブルースや他の夫たちは、「スウィング」の名のもとに私も含め自分たちの妻を説得して、私たちの身体を楽しんできたんじゃないの… だったら、私がちょっと手荒に扱って、ブルースが顔をヒリヒリさせることになったとしても、全然、文句なんか言えないはずよ…
リンダは、そんなことを思いながら、なお一層、ブルースの顔を股間に引き寄せ、強く腰を突き上げるのだった。
「むううう……」
ブルースがくぐもった声を上げた。髪の毛を引っ張られ、顔面を手荒に扱われて、少し苦痛を感じているブルースだった。それでも彼は、顔を離さず、少しだけ動いて、クリトリスを舐めはじめた。そして、ちょうどその時、リンダは絶頂に達した。
長い絶頂時間が続いた後、ようやくリンダは太ももの力を緩め、挟んでいたブルースの頭を離し、握っていた髪の毛も離した。ブルースは苦しそうに息をし、まばたきをして目に入った体液を流そうとした。
「あなた…? とても良かったわ。ありがとう。…ねえ、今度は、私、何をしたいと思っているか分かる?」
「何だ?」 とブルースは、リンダの脚の間に挟まったままの格好で彼女を見上げた。