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「おめでとう!」 とマリイが言った。
火曜日。マリイとリンダは、いつものように、仕事帰りに二人で飲みに来ていたのだった。その前の日、リンダとブルースは、輪の会の正式メンバーに選ばれたという連絡を受けていた。
「ありがとう。すごく、ほっとした気持ちだわ」
「で、ブルースはちゃんと役割を演じたわけね?」
「そうなの。ほぼ完璧! 後でリロイにその時の様子を全部聞いたわ。リロイはブルースにひざまずかせて、靴にキスまでさせたらしいのよ」
「うっそー! 冗談でしょう?」
「いいえ、ほんと。ああ、その時の様子を自分で見られるんだったら何でもするのに! 昨日の夜、ブルースにそれって本当のことなの? って訊いたのよ。そしたら、本当だって認めたわ。すごく恥ずかしそうにしていた。ブルースは、実際にしたことよりも、私に知られたことの方が恥ずかしかったみたい」
「想像できるわ」
「ブルースは、あたかも、何でもないことにように言っていたけど、実際、ひざまずいたのよ? しかも靴にキスまでして。何でもないことなんかじゃないわよね? 取り繕うのも、いいかげんにしてよって!」
「何だか、私たちの旦那たちって、二ヶ月くらい前に思っていたより、ずっと、私たちの新しいオトコたちに恐怖を感じているみたいね」
「その通り。ブルースったら、リロイの小さなテストに受かっただけで、ものすごく安心したらしくて、屈辱的なことをさせられたことなんかすっかり気にしなくなっているみたい。いまは、むしろ喜んでるんじゃないかしら。すっかりハマってる様子だわ」
「ほんとに?」
「うん、ほんと。ブルースに、リロイがパーティをしに、金曜の夜、家に来ると言ったのよ。いまは正式メンバーだから、これができるのね。ブルースはある意味、興奮していると思うわ。私に、リロイはどんなお酒が好きか聞いてくれって言うの。ちゃんと用意しておきたいからって。それに、私に新しいランジェリーも買うから一緒にショッピングに行こうと言ってるわ」
「素晴らしい!」
「思うに、そういう態度をする理由の一つは、ブルースは、自分ができる限りのことで、私を喜ばそうとしているんだと思うわ。すごく気遣ってくれるもの。今度の金曜には、早く帰宅して、家の掃除や整頓をするって言ってるわ。準備は全部、自分でするって」
「そう… ともかく、ブルースが人生観を一変させるような経験を味わうことになるのは確かね。たとえ、今の時点では、信者になっていなくても、金曜の夜が終わった後は、確実に信者になってるはず!」