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ジャッキー 第5章 (1) 

「ジャッキー」 第5章 Jackie Chapter 5 by Scribler


これまでのあらすじ

ジャックは妻のアンジーの浮気現場を見てショックを受ける。彼はアンジーと知り合った頃を回想する。彼はある法律事務所でバイトをしていた。上司はすご腕のアンジーだった。仕事を通じ親密になった二人は一緒にケルト祭りに行く。その祭りでは、男はキルトのスカートを履く。ジャックはアンジーに促されるままスカートを履き、想像と反し居心地が悪いわけではないと思う。ケルト祭りの帰り二人はアンジーのアパートでセックスをした。下着を用意してなかったジャックはアンジーのランジェリーを着て眠るのだった。




翌朝、耳のところをアンジーにキスされながら目覚めた。経験がなかったが、こういうふうにされて目覚めるのはとても気持ちがいい。僕も目覚めた後、アンジーと二人で浴室に行き、二人でシャワーを浴びた。残念ながらその日はアンジーは出張に行かなければならないので、朝も忙しく、性的なことは何もしなかった。

僕はひげを剃ろうと思ったけれど、もちろん、自分のひげ剃り用具は持ってきていなかった。しかたなく、アンジーの持っている、ピンク色の使い捨ての剃刀と女性用のシェービング・ジェルを使った。そのジェルは桃の香りがして、ちょっとためらったが、他にどうしようもない。それにシャンプーや汗止めも彼女の使っているものを使った。これも花のような香りがしていた。シャンプーを終えた時点で、僕は、香水の強い香りはないものの女の子のような匂いを発していたのは確かだった。

そいう不慣れな浴室にいたからか、僕はアンジーより長く浴室にいたようだ。ようやく浴室から出て寝室に戻ると、ベッドの上に黒いパンティと、それにマッチした色のキャミソール、加えて、黒皮のズボンと黒いウールのタートルネックのセーターが置いてあった。僕は最初、これはアンジーが着るつもりで並べてるのだろうと思ったが、そうではなかった。僕のためだったのである。

アンジーはコーヒーを入れた大きなマグカップを二つ持って寝室に入ってきた。彼女はすでに黒皮の袖なしのジャンプスーツに着替えていた。そのジャンプスーツ、ズボンの部分はとてもタイトで、それを履くにはずいぶん苦労しただろうなと思わせるようなものだった。一方、トップの方はかなりゆったりとしているので、中にベッドに置いてあるのと似たウールのセーターを着ていた。

アンジーは僕にコーヒーを手渡しながら、「さあ、急いで着替えて。もうすっかり明るくなってるわ」と言った。僕のお尻を軽く叩いて、僕をせかす。

このときの僕を見たら、人は僕はこの時すでにすっかり飼い慣らされてしまっていたと言うかもしれない。というのも、僕はアンジーに問いただすことすらせず、パンティとキャミソールを着たからである。セーターには、はっきりと女性的な香りがしていた。後で知ったが、その香りはアンジーが衣装入れにいれていた匂い袋の香りだった。

そのセーターは僕にはきつく、裾もおへそのちょっと下のところまでにしかならない。これも後で知ったが、このようなセーターは、最近、女の子たちの間で流行っている最新のスタイルのセーターだった。お腹のところが露出したセーターを着た女の子を見たことがあると思う。

セーターを着た後、皮のズボンを履いた。その時になって気づいたが、そのズボンではチャックやホックが前でなく、腰の横のところについていた。これは女性用のズボンだったのだ。僕は反射的にたじろいだ。

「アンジー、これは君のズボンだよ。これを履いて外に出るなんて、僕にはできないよ」 ほとんど泣き声になって言った。

「あら、誰も気づかないわよ。今日は車に乗って地方に行くだけだから、誰も、そのズボンが男物か女物かを見分けられるほど近寄ってくる人はいないと思うわ。それに、あなたの衣類はもう洗濯機に入れちゃってるから、家に帰るときには着るものがあるから大丈夫よ」

僕は、僕の服を返してと言いかけていたところだった。だが、彼女の言葉で僕は言わずじまいになってしまった。


[2010/11/30] 本家掲載済み作品 | トラックバック(-) | CM(0)

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