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ジャッキー 第5章 (2) 

唖然としてアンジーを見ていたけれど、彼女は早く出かけなければと、少しイライラしている様子だった。服のことで文句を言ったら、彼女も機嫌が悪くなるのは確実だ。それに、今日は大半、車の中にいればいいのだから、僕の服装をチェックする人がいるとも思えなかった。結局、諦めて、その女物のズボンを履いた。アンジーはにっこり微笑んでいた。

そのズボンは非常にきつかった。アンジーが履いているズボンほどはタイトじゃなかったけれど、それでも履くのにひと苦労したのは事実だ。ウエストのところはかなり短く、腰のすぐ下までしか隠せていない。セーターも丈が短かったが、たとえ丈が長かったとしても、ズボンの中に入れることはできなかった。それほどタイトなズボンだった。

ようやくズボンを履くと、アンジーは今度は僕にブーツを差し出した。若干、ヒールが高くなっているブーツだった。横にチャックがついていて、それを開けてようやく足を入れることができる。特段、男物か女物か区別がないブーツのようだったけど、これはアンジーのブーツなのははっきりしていた。今日は、ずっと車の中にいられそうで良かったと改めて思った。

一応、身支度を整えると、アンジーは僕のことを抱きしめてくれた。まるで、このような服装になった僕を喜んでいると伝えるようなハグだった。

それから僕にキスをし、キスをしながら革製のズボンの上から僕のお尻をギュッと握った。僕も、勝手ながら、アンジーのお尻に手を当て、ギュッと握り返した。それにしても、本当に身体に密着したズボンなので、まるで裸の尻頬を握っているような感触だった。

キスの後、アンジーは化粧台に行って、唇に口紅を塗った。鏡に向かう彼女の後姿を僕は見つめていた。タイトな革製のズボンに包まれた彼女の臀部が、本当に見事で、どうしても目を奪われてしまったからである。この世に完璧なお尻があるとすれば、まさにアンジーのお尻こそが、その見本であると思った。

アンジーは口紅を塗り終えると、僕の方に近寄ってきた。手にはチューブのようなものを持っており、僕はすぐに、それは口紅だと思った。僕に口紅を塗るつもりなのだと。僕は遮るように手をかざして言った。

「口紅はやめてほしいよ。君が望む服は着るけど、化粧をするのはやめてほしい」

アンジーは笑って、手に持っていたチューブを差し出した。それは口紅じゃなく、リップクリームだった。

「これはあなたの素敵な唇がかさかさになってしまうのを防ぐためのものよ。それに、お化粧については、あなたがしてほしいと言うなら別だけど、私からあなたにすることはないから」

僕は化粧をしてほしいなんて言いっこないと言おうと思ったが、言いだす前に彼女は僕の唇にリップクリームを塗り始めていた。



[2010/12/13] 本家掲載済み作品 | トラックバック(-) | CM(0)

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