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女は低脳だ(9) 

水着の1つは、黄色と青の大きな渦巻き模様の、やけに派手なビキニだった。いや、「大きな渦巻き」と言ったけれど、そんなに大きいはずはない。というのも、そもそも、ビキニの布地自体がすごく小さいから。もう一方の水着は、淡い青のワンピース。布地素材には、わずかに縦にうねりが入っているが、模様はない。彼女は、僕がビキニを選ぶだろうと思っていたようだ。選択は簡単だ。もちろん、ワンピースの方。

実際、これほど簡単な選択はない。ワンピースの方は、胸元が深く切れ込んでいるし、左右のサイドにもざっくりスリットが入っているのだ。それに、目を惑わすような模様がないのもいい。何も、僕の目があんまり良くないって言いたいんじゃないよ。ともかく、模様がある水着が嫌いなだけ。どうして、軍が、戦車や戦艦にあの緑色のゴタゴタを塗りたくっていると思う? ああいう模様があると頭がくらくらして目の焦点が定まらなくなるから、だろう? それと同じこと。黄色と青のビキニと、カムフラージュされた緑のハムヴィー(参考)も同じこと。ま、とにかく、そのワンピースは、面白くなりそうだと思わせる方なわけだ。

僕は部屋を出た。彼女は、水着に着替えて部屋から出てきたが、Tシャツを持って前のところを隠している。

「これを使うことになるかどうか、分からなかったから・・・」 迷っている風に言っている。

「ああ、それ、持ってきてもいいよ。使うことになるかどうかは分からないけどね」

Tシャツは、この前来た彼女のお友だちと一緒に使って遊んだから、この彼女とは、もういいだろう。ひょっとして、この前のキューティーちゃんと、このビューティーちゃん、裏で話し合ったのかな?

彼女はリビング・ルームの中央の空間に歩いてきた。

「オーケー、背筋を伸ばして立ってみて!」

さて、また、半ダースほど写真を無駄にすることにするか。カシャッ!

「肩を後ろに持っていくように・・・そう、今の姿勢いいよ!」 カシャッ!

「可愛い顔だね。笑って見せて」 クロースアップを撮るため、近づいて、カシャッ!

それからちょっと1メートルくらい離れてみる。ファインダーの中、水着のおへその辺りから、濃茶の髪の毛まで、彼女の姿が収まる。思ったより背が高いなあ。170センチ位かな?

水着は、地味ながらも実に魅力的だった。深く切れ込んでいる胸元から、両サイドのあの大胆なスリットの流れがいい。スリットは、ほとんど腰の辺りまで開いている。両腕の脇のところには短いスパゲッティ・ストラップ(参考)があって、水着の前面と背面をつないでいる。そのストラップにマッチしたストラップが両肩にかかっていて、水着が落ちないようにしている。なかなか良い効果だ。

「オーケー。じゃあ、何をしようか?」 もちろん、これは修辞疑問文。

「あの・・・この前は、Tシャツから始めたんでしょう?」 

あ、やっぱり! 彼女たち、話し合ったんだ。でも、どれくらい話し合ったんだろう?

「それは、この前の話しね。ああ、でも、この前はこの前、今日は今日だから・・・」

手口がばれないようにしなければ。

「何か小道具を持ってくれてもいいし、あるいは、ちょっと運動して見せるとか、それとも・・・」

彼女は言葉を遮った。「私、モダン・ダンスをやってるの! 何か音楽をかけてくれない? それにあわせて踊るから、その写真を撮って?」

「素晴らしいアイデアだ!」

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