朝になった。起きたかった時間より少し遅くなっていた。俺は素早くトイレに行き、シャワーを浴びた。それから、いつも朝にやってることを一通り済まし、キッチンに降りたが、コーヒーショップで何か食べられるだろうと、朝食は省くことにした。
ガレージに行き、ドアを開けた。もう自転車に乗るのはうんざりだったが、車を買う方法を見つけるまでは、この自転車しか俺の移動手段はない。急いで自転車をコーヒーショップへと飛ばした。そして店の前に自転車を立てかけ、中に入る。ショップに入る時に、チラリと向かいのシー・サイド・ダイナーの様子を見たが、今日は客がたくさんいる様子だった。
コーヒーショップの方も混んでいて、窓際から離れた、小さな二人用テーブルしか空いてなかったので、そこに座った。トリスタはコーヒー・ポットを持って、テーブルからテーブルへと駆けまわっていた。彼女の方はまだ俺に気づいていないので、じっくり時間をかけてトリスタの美貌を堪能することができた。
ジーンズ姿だが、このジーンズが彼女の尻と脚をぴっちりと包んでいて、身体のラインがはっきり見える。客にコーヒーを注ぐ時など、前かがみになると、デニム生地を通してかすかにパンティ・ラインが見えるほどだ。着心地の良さそうな白いトップの方でも、お腹のあたりのラインがかすかに見える。緑色のエプロンのために胸が隠れていたが、あの下には、ナイスなおっぱいが隠れてるはずだ。
トリスタが振り返り俺に気づいた。にっこり笑い、いそいそと俺の座ってるテーブルにやってきた。
「ハイ、ジャスティン!」 と言いながら俺のコーヒー・カップを上向きにし、それに注いだ。
「おはよう」 と俺は言い、クリームをコーヒーに入れた。
「今まで何をしてたの? もうお昼近くよ」 彼女は微笑みながら俺の向かいの席に腰を降ろした。
「夜の嵐のせいで寝坊しちゃったんだよ…ところで今日は、いつ頃、仕事が終わるの?」 とテーブルに両手を出しながら訊いた。
その俺の手に彼女が手を乗せた。俺は心臓がドキドキするのを感じた。トリスタは僕の指を擦りながら微笑んだ。
「ああ、ジャスティン、今日は早く抜けられないのよ…」 と彼女は笑顔からしかめ面に変わった。「…今日は4時まで働かなくちゃいけないの。それから夜は教会でお父さんのお手伝いをしなきゃいけないし…」 と少しふくれっ面になる。
だが、急に笑みが彼女の顔に広がった。そして、俺の手をぎゅっと握りながら彼女は言った。
「いいことがあるわ」
「何?」 俺は彼女の手を払いのけ、逆に握り返した。
「今夜、教会に会いに来て。そしたら、私の車の中で、二人で座ってお喋りができるわ」 そう言って、僕の返事を嬉しそうな顔をして待った。
「何時ごろ?」
「9時なら大丈夫…」 と目を輝かした。そして興奮した様子で続けた。「…お父さん、そのころには普通、もう寝てるから、私が家を出ても気づかないはず」
「じゃあ、行くよ」 と僕は片手を彼女の手から離し、カップを取って、コーヒーを啜った。
「助手席のドアはロックを外しておくわ。だから誰にも見られずに車に乗れるはず」 と、トリスタはカウンターから俺の注文したドーナッツを取るため、立ち上がった。
彼女はまた座り直し、俺はゼリーたっぷりのドーナッツを一口かじった。それからコーヒーを啜り、口の中をさっぱりさせた。その間、俺はずっとトリスタの可愛い緑色の瞳を見つめ続けた。
「マットの下にスペアキーも置いておくわね。それなら、私より先についた場合、車の中でラジオを聞いていられると思う」 とトリスタは立ち上がった。
俺はまたドーナッツをかじってるところだったので、首を縦に振って返事した。
「もう仕事に戻らなきゃ」 と僕に投げキスをして彼女はくるりと俺に背中を見せた。
「あ、ジャスティン? そのコーヒーとドーナッツ、わたしがおごってあげるわ」 と笑顔で俺に手を振り、仕事に戻って行った。
俺はコーヒーを飲みながら、考え事をして座っていた。トリスタはとても忙しそうで、テーブルの間を行き来し続けていた。ときどき俺の方に目を向けて、天使のような笑顔を見せてくれた。はっきり判っていたことがひとつだけあった。それは、俺がこの子に惚れているということだ。
トリスタは忙しかったので、俺は立ち上がり店を出た。自転車をこぎ出し、家に向かった。その途中、実に素晴らしいことを思いついた。
ブラッドの母親には、カネを持って今夜トリスタの車に来るよう言ってある。今や車のキーは、トリスタから盗まなくても良くなった。今夜はトリスタの車のドアを開けっ放しにしておくために何かしなければと思っていた。どうやら俺の想定を超えて、うまくことが進んでいるようだ。
俺は進路を変えて、ブラッドの家に立ち寄ることにした。ステファニが家にいるか確かめておこうと思ったからだ。俺は、隣の通りへ向かい、ブラッドの家へと自転車を進めた。