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デス・バイ・ファッキング 第10章 (7:終) 

アンドリューが言った。

「ディ・ディ、そろそろいろんなことについて話しあわなきゃいけないと思うんだ。これまでは何もかも推測にすぎなかった。でも今は、君たち二人とも妊娠している。もちろん、僕が本当に君たちの『同類』かどうかは、まだ分からない。君たちがもう一回、妊娠するまではね」

まあ! 私たち、まだ最初のパンも食べていないのに、アンドリューは次のパンをオーブンに入れることを考えている。この人には手に負えないわ。

「ちょっと息を止めていたらいいんじゃない、アンドリュー?」

「まあ、僕を、誰か他の、相手が決まっていない双子に貸し出すというのはどうかな? そうすれば、いわば、プロジェクトの好スタートを切れる」

このアイデアも、私にはダメ。「坊や、あなたはとりあえず手に入れたもので満足してなさい。他の双子たちは自分たちでイイ男を見つけられるわ。私たちは私たちの男を見つけたの。そして、その男を手放したりしないの!」

アンドリューは冗談の口調から、真剣な口調に変わった。「ディアドラ。僕は君を愛している。君に会いたくてもう待てない。今度の金曜日、僕はシンシナティに飛ぶ。ドニーも行くよ。だからこの週末はずっと三人で過ごせる」

「今週も私に電話して、お願い。多分、あなたの声が聞きたくてしょうがなくなると思うの」

「もちろん、毎晩、電話するよ。君たち、おしゃべり娘たちが受話器から手を離したらすぐに電話するから」

後ろの方でドニーが言うのが聞こえた。「そこの天才そうなお二人さん? 二人とも電話会議って知らないの?」

アンドリューが言った。「最初にしようと思ってることは、君たちのノートパソコンに取りつけるビデオカメラを買うことなんだ。そうすればビデオ会議ができる。そっちの方がもっと良いと思う。まあ、何と言うか、君たちがちょっとした見世物をしてくれてもいいかなっとも思ってるんだ。言ってる意味が分かればの話だけど」

「アンドリュー? あなた、私たちの話し方が移ったみたいよ。その『見世物』という言葉で何を言いたいか、ちゃんと分かるわ。でも安心して、私たち、インターネットの回線上であまりに個人的なモノは見せびらかさないつもりだから!」

「ああ、ディ・ディ、頼むよ。君が君のを見せてくれたら、僕も僕のを見せてあげるからさあ」

正直、そのアイデアには長所もあると思った。

「その件については、ふさわしい技術が開発された未来のいつの日か、もう一度、話しあうことにしましょう。その日まで、夢を見続けていること」

「でも、君たちに関する限り、夢で見ても、本物を見たときほど良くないんだよ」

ドニーがアンドリューから電話を取りあげた。

「ディ・ディ? この男に何でも言いくるめられたらダメよ。私たちの方が彼を誘惑するというふうになってるべきなの。その逆じゃダメなの。…あッ、アンドリュー、ダメ! やめて! いやん! ああん! もっと下、下の方よ! あっ、…! ディ・ディ、ちょっと、いま電話ができなくなっちゃったわ。あのケダモノ、私を離してくれないの。もう、ほんとに!」

ハイ、ハイ。 さっき、アンドリューはお口でドニーを喜ばせたようだけど、そうだとしたら、あれはメインイベントに向けてドニーのウオームアップをしていただけだろう。彼のあのウオームアップを食らったら、たいていの女たちはイチコロだ。彼のメインイベントはもっと別次元。あれこそ、私に「デス・バイ・ファッキング」という言葉の意味を真に理解させたものだった。

シンシナティの自宅に帰る時の飛行機の中、私はそのことを考えていた。私もドニーも、次の世代を産む準備が整った。その子たちは、地球上の優勢な生物種として、今の人類に置き換わることになるだろう。ともあれ、それは理論上の話し。実際に別の種となるのは、私たちの子供たちかもしれないし、あるいはその子供たちの子供たちかもしれない。あるいは、またその子供たちかもしれない。もしそうだとしたら、今のホモサピエンスに置き換わるのはずっとゆっくりしたものになるだろう。

だが、確実に言えることは、私たちの子孫は、ホモサピエンスがネアンデルタール人に対してしたようには、しないだろうということだ。私たちは、殺戮によって人類に置き換わることはしない。人類を愛して死に至らしめるだろう。一度に一人ずつ置き換わっていくし、残されたホモサピエンスをちゃんと愛し、育てていくだろう。そして今の人類を愛しぬいて、絶滅に向かわせることになるのだ。

ホモサピエンスは戦争によって絶滅したりはしない。デス・バイ・ファッキングによって絶滅するのだ。

つづく


[2011/01/24] 本家掲載済み作品 | トラックバック(-) | CM(0)

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