いまやリロイは完全にリンダを貫いた。リンダは切羽詰まった形相でそれを受け止めていた。燃え上ってくる強烈な淫欲に必死に耐えているようだった。そしてリロイは、余裕たっぷりに、長大な武器の先端から根元までを使ってゆっくりとした抽迭を開始した。それからほどなくして、二人はリズムを獲得し、次第にそのテンポが上がっていった。ベッドが揺れ、ぎしぎしとリズミカルなきしみ音が部屋に響く。
二人のあり様を見ていたブルースは、ふと自分の腰が勝手に動いているのに気づき、愕然とした。無意識的に、リロイとリンダの動くリズムに合わせて、自分も腰を動かしていたのである。そうやってきつい下着に収まってるペニスに少しでも刺激を送ろうとしていたのだった。手で触りたいと切に願ったが、なんとか意志の力でそれを押しとどめた。
「ああっ、ああっ、ああっ、ああっ…」
リンダはいまや辺りはばからず淫らな声をあげていた。強力な突きを送り込まれるたびに、声をあげている。リンダもリロイも汗まみれになっており、二人の体がぶつかり合うたびに、ピタピタと湿っぽい音が鳴っていた。
やがて、二人とも絶頂のふちに近づいていた。リロイの体をひしと抱きよせた。ズブリズブリと繰り返される出し入れの動きに合わせて、リンダの艶めかしい声が轟き、ベッドのスプリングもギシギシとハーモニーを奏でた。ブルースは、あのベッドは確実に壊れて使えなくなるだろうなと思った。
「ああっ、もうッ…イキそう…い、いくぅぅっ!」
突然、ひときわ高くリンダが叫んだ。
ブルースは、自分の妻がこれほど完璧に動物的な欲情に身をゆだねる姿を見たことがなかったし、想像すらしたことがなかった。性的な欲望と快楽、そしてさらに高みに登りつめたいとする切実な欲求…純粋に快楽だけを求めて、明らかに理性をなくし、ほとんど気が狂った状態になっている。
オーガズムに襲われた瞬間にリンダが出した人間の声とは思えない声に、ブルースは恐怖すら感じた。こんなセックスがあるとは、想像すらしたことがない…
その瞬間、ブルースは完全に明瞭に、もう決して前の状態に戻ることはできないと悟った。そう悟ると同時に、自分は自分の妻の主たるパートナーの役割を演じるには、みっともないほど価値のない人物なのではないかという感情が湧きあがった。
リロイや、リロイのようなあのクラブの他の男たち、彼らは自分よりはるかに優れた存在であって、自分は彼らの前にひれ伏すことこそ正しいあり方なのだ。
リロイが体をこわばらせた。リンダの中にペニスを根元まで埋め込んだままじっとして動かなくなった。その間、精液が充満した睾丸からリンダの中へと噴射しているところなのだろう。
リンダは彼に必死にしがみつき、固く抱きついていた。リロイの樹液を受けつつ、歓喜にあふれたエクスタシーの顔をし、絶頂を味わっている。
二人は、それから数分間、声も出さず、しっかり抱き合ったままつながっていた。
ブルースは二人を見ながら、自分が小さく、取るに足らない存在であると感じていた。性的にかくも偉大なものを目の当たりにしている気持ちだった。そして、自分自身は、それを外から覗いているだけにすぎないと。
ズボンの中はすでにびしょ濡れであったが、今だにそこに囚われているペニスがピクピクしていた。この二人と一緒の部屋にいることが、どこかとても名誉なことであるように感じられた。
ブルースは、ふと自分の股間に目を落とし、スラックスの股に濡れた染みが広がっているのを見た。ブルースは、いまや、リロイは尊敬しなければならない男だと信じていた。彼はいまや信者になったのである。