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裏切り 第1章 (8:終) 

あの金曜日以来、毎日の夜が、長く、孤独で、苦悩に満ちた夜になっていた。セックス以外の夢が見られなくなっていた。目覚めている時も同じで、セックスが僕の頭の中を支配し、生活を支配していた。それが一週間続いた。

夢の中で、僕はノース・ミシガン通りの真ん中を素っ裸で歩いているのである。通りには人が列をなしていた。妻のスーザンとその愛人ジェフ、僕の友人や同僚たち、それに赤の他人たちも。僕の周りのいたるところで性行為が展開している。僕はまったく無力で、周りのセックスの展開や成り行きを変えることができない。ただ見ているだけである。そして、誰もがセックスをしながら、そんな僕をあからさまにからかっているのである。

そんな中、二つの眼が面白そうに僕を注視しているのを僕は感じていた。まるで僕を何かエンターテイメントの対象であるかのように、あるいは、個人的な玩具であるかのように僕を見ているのである。僕は、その二つの眼に一挙手一投足を見られ、恥ずかしく感じているし、侮辱的にも感じている。僕はその眼を嫌悪しているし、恐れている。だが、それでも、その眼を求めてもいるのだった。あの眼をもう一度見たいとは決して思っていないのだが、それでも、その眼に見つめられないことも耐えがたいと感じているのである。

その眼は緑色ではなく、茶色だった。

金曜日の午後、電話が来た。

「いつまで我慢するつもりなの?」 

電話の向こう、ダイアナが平然とした口調で僕に訊いた。

「アバズレ!」 僕は唸った。

「私はいつもそう」 彼女は誇らしげに答えた。

「また僕に嫌なことをさせるために電話してきたのか?」 いきなり核心を突いた。

「そんなふうに取らないで…」 ダイアナは慌てた様子で答えた。「…あなたはいつでも出て行けたはずよ。なのにそうしなかった。私に、僕はしたくないことをさせられてるとすら言わなかったじゃない」

彼女はちょっと沈黙した。自分の言った言葉を再考してるようだった。

「本当のところ…」 彼女はずっと穏やかでなだめるような口調で続けた。「本当のところ、この前はあなたに間違った印象を持たせてあなたを帰してしまったのかもしれないわ。あんまりたくさん変態… あ、つまり、私、私自身が扱われたように男の人を扱っちゃう悪い癖があって… あなたにあんなことするなんて失礼だったわ。あなたは私に優しかったもの。本当の紳士として振舞ってくれていた。あなたが私のところから出て行かなかったことで、私、あなたも私に好印象を持ったんじゃないかって思ったの。だから… 私、間違ってる?」

言いたいことがあまりにもたくさんあった。彼女がこの一週間、どんなに僕の思考や夢を独占してきたかについて… 僕は言葉にすらできなかった。

「…どうやら、少なくとも否定はしないようね…… それはともかくとして、あなたは、私にとって一番魅力的な人だったわ。こんな気持ちになったこと、ずいぶんなかった。こんなこと話しているのが自分で信じられないけど、だけど、私、あなたのこと、この一週間ずっと想い続けていたの… それで、どうなのかなって… もしよかったら、私に償いをさせてくれない? ただでいいから?」

僕はびっくりしていた。おそらくダイアナは毎週10人以上の男たちとセックスしているだろう。にもかかわらず、僕のことを想っている? 個人的に僕に会いたい? 

僕はこの世で一番感受性の強い人間とは言えないだろうが、それでも、僕は、彼女が「ただで」と即座に言ったことは、僕自身の迷いの気持ちをなだめるためばかりでなく、彼女自身の迷いの気持ちを落ち着かせるためでもあると察知した。彼女は僕に会いたがっている。僕自身、この一週間、動揺し迷い続けていた。そのこと自体、僕もダイアナに心を奪われていることを表している。そう思った僕は、すぐに会う段取りを決めた。

ダイアナはレイクビュー(参考)に住んでいる。そこに向かう車の中、僕は極度にいきり立っていた。レイク・ショア・ドライブ(参考)は渋滞していて、ノロノロ運転だった。悪いことはそれだけでは済まないのか、彼女の住処の近くでは駐車することは不可能だった。

ようやく彼女のマンションに着くと、ダイアナはブザーを押して僕を建物に入れてくれ、そして階段を登りきると、彼女は玄関先で待っていてくれた。

彼女は、ガーターベルト、ストッキング、スティレット(参考)のサンダル、そして床まで届く丈の薄地の黒いペニョワール(参考)だけの姿だった。頭のてっぺんからつま先まで絶美だった。ダイアナは瞳を躍らせ、そしてパッと顔に魅惑的な笑みを浮かべた。

「ハーイ、また会えたわね。ようこそ…!」

僕は片腕で彼女の胸を突き、無駄な挨拶を遮った。僕の動きに押されて、彼女は倒れそうになりながら後ずさりし、そのまま小さなスタジオ型のアパート部屋の奥へと進んだ。と言うと、何か無様な格好だったように思えるかもしれないが、念のために言っておけば、ダイアナは、あの摩天楼のように高いヒールのサンダルを履いていたものの、実に美しくバランスを保ち続けたのだった。だが、そのバランスもベッドのところにきたところで崩れてしまい、彼女はベッドに仰向けに倒れ込んだ。

そして僕は彼女が倒れたと同時に、彼女に覆いかぶさり、すぐに彼女のペニスを口に咥えたのだった。

それから1時間以上、僕は唇と舌を使って、ダイアナを焦らし、苦しめ、いたぶり続けた。何度も絶頂の淵まで高めては、愛撫を中断し、そしてまた絶頂へと追い立てた。最後には、僕の喉奥へ射精するのを許したが、そこに至るまでの長時間、彼女は喘ぎ、叫び、よがり泣き、狂ったように身をくねらせ、手にこぶしを作って僕の両肩を叩き続けたのだった。

絶頂を終えた後、彼女はようやく深く呼吸し、言葉が発せられるようになった。絶頂の後、そうなるまで10分近くかかっていた。

ダイアナは天井を見つめながら言った。

「…そうねえ…無駄話はいらないわね…… これで、すべて許してもらったと思っていい?」

「この週末、何か予定がある?」 僕は質問に質問で答えた。

「いまは予定ができちゃったわ。さっきまでは仕事に行くつもりだったけど……。分かるでしょ? 女の子は家賃を払わなくちゃいけないから…」

「その心配はいらない。僕が持つから」

「本気でそう言ってるの?」 ダイアナは用心深そうな顔で問い返した。

「とりあえず、やってみて、様子を見てみよう」

ダイアナは片眉を上げた。僕は彼女のその表情が魅力的に思った。それから彼女は僕の痛いほど固くなったペニスを擦り始めた。

「とりあえず、やってみる? ……ええ、いいわ。私もやってみることにするわ。いわば、仕返し、ね?」

つづく



[2011/02/04] 本家掲載済み作品 | トラックバック(-) | CM(0)

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