「なんと…」
ブルースは、この新しい情報を飲み込みつつ、リンダの陰部を見つめ続けた。そして、突然、言い知れぬ不安感が湧きあがり、どうしてもリンダの慈悲にすがりつかなければいけないという気持ちに襲われた。これまでブルースはリンダのことを恐れる理由はまったくなかったのだが、今は事情が変わったのだった。
「懲罰はいやです」 彼は哀れっぽく呟いた。
リンダはブルースの頭を軽く叩いて、なだめた。自分はブルースをここまで手なずけたのだ。そのことを思い、彼女は自分の中に力が満ちてくるのを感じていた。実のところ、リンダ自身は、ジムが受けたような懲罰をブルースに味わわせたいとは思っていない。とはいえ、ブルースがこの点を無視することも許す気はなかった。
「私もね、あなたが懲罰を受けるのは望んでいないわ。でも、懲罰をさせるかどうかは私だけが決められることという点は理解しておくべきね。これからは、その点を絶対忘れないこと。私はあなたに、可哀想なジムが味わったような経験をさせたくないけど、もしあなたが懲罰に値するようなことをしたら、私は躊躇せずに懲罰を命令するつもり。分かったかしら?」
「はい、奥様。ありがとうございます」
「何だかんだ言っても、あなたがいま見つめているところに、簡単な解決方法があるじゃない? あなたは、あなたが支援する気持でいることを示せるのよ。今すぐに…、それとも、もうちょっとだけ説得された後かもしれないけど…。ほら、してみたら? もし、あなたが今すぐに、リロイを完全に尊敬してますということを喜んでしてくれたら、私、あなたのことをとても誇りに思うわ。五秒だけ考える時間をあげるわね。一秒…二秒…」
ブルースは恐れおののいていた。「懲罰」というが一体どういうことなのか? その得体のしれない懲罰に課せられたら? もうすぐ時間がなくなってしまう。その懲罰がどんなことであれ、ジムが受けた経験は避けたい。でも、どうしてジムは友人なのにこのことを教えてくれなかったのだろう? そんなブルースの思考の流れをリンダの声が遮った。
「時間ね。ごめんなさい」
「あ、いや。やらせてくれ!」 ブルースは、慌てて叫び、妻の脚の間に顔を埋めた。
最初の感覚は、顔面を覆う湿り気だった。そして次に襲った感覚は、妻の愛液とリロイの多量の精液が混じり合った、息がつまりそうなむっとする匂いだった。そしてとうとう、舌をリンダの開いた陰唇の中に突き入れた。その時の味こそブルースの恥辱の仕上げになった。
「そうそう、そうすればいいの…」 リンダはブルースの頭を引きよせながら言った。「降参すればいいの。完全に降参すればいいのよ…」
ブルースは目がチクチクするのを感じていた。自分の涙のせいなのか、それとも、溺れそうなドロドロのぬかるみのせいなのか? ブルースには分からなかったし、気にもしてなかった。深々と鼻から息を吸い、しゃにむに、しかも恭しくリンダの女陰を舐め続けた。ブルースは、ずいぶん前に、自分が後戻りできない地点を超えてしまったことは知っていた。後は、得体のしれない懲罰とやらを受けることにするか、それともこの新しい立場に完全に身を委ねるかのどちらかしか道はなかった。そして彼は後者の道を選んだのだった。
「その調子よ、いいわ、ブルース…。リロイが出したのを全部舐めとるの。しっかり味わって。それに、あの綺麗な真黒なおちんちんのことと、それが私に与えてくれた喜びのことを思い浮かべるのよ!」
それを聞きながらブルースはズルズルと粘り気のある液体を啜った。リンダに言われるまでもなく、彼はいま奉仕している女陰、つまり自分の妻の女陰に、リロイの巨大なペニスが激しく抜き差しを繰り返している情景を思い出さずにはいられなかった。あの圧倒的な迫力。畏れを感じさせる力強さ。
ブルースは舌と唇を通して、自分の感情を伝えようとした。
鼻をリンダの恥骨に強く押し付ける。恥骨を通して、妻の下腹の深部で筋肉がうごめいているのが感じられた。その動きに合わせて、膣口から絶え間なく精液が流れ出し、ブルースの開けた口に流れ込んでくる。
「そうよ、いい感じ。そうやって、自分が何者なのか私に示すのよ。ほら、そこをきれいにして! そして私をイカせて!」
リンダは荒馬のように股間を突きあげ始めた。ブルースは必死で咥えこんだまま、口を離すまいともがいた。舌を尖らせ、奥深くに挿し込んだり、舌を出しては、濡れて勃起したクリトリスを舌先で弾く。
リンダは絶頂に近づいていた。ようやくブルースも顔面をいたぶられた褒美が得られつつあった。彼は、自分の情けない性器が再び勃起しているのに気づいた。
「イキそう! やめるんじゃないわよ、おまんこ坊や!」
そう叫んだ直後、リンダは限界を超え、ブルースの顔をいっそう自分に引き寄せた。信じられない力で引き付け、同時に激しく股間を突きだし、聞いたこともないような大きな叫び声を上げた。その激しさに、ブルースは恐怖を感じたほどだった。
絶頂が過ぎた。その後も、ブルースは元の位置にとどまったままだった。リンダから合図を送られるまでは、あえて動こうとはしなかった。だが、待ってる時間はあまり長くはなかった。リンダは足で蹴るようにして用済みになったブルースを押しのけた。
ブルースはそのまま倒れ込むように、仰向けになった。なぜかリンダの顔を見るのが怖かった。何を言ったらよいか、何をリンダに求めたらよいか分からなかった。
長い沈黙の後、ようやくリンダが口を開いた。
「それで…? どうだった? 楽しんだ?」
「はい、奥様。…心から楽しみました」
「自分の気持ちを素直に私に示せたし、新しい私たちの人生に忠実に従う決意も示せて、すがすがしい気分なんじゃない?」
「はい、奥様」
ブルースは、ほんとに心から自分がそう返事しているのを、我がことながら驚いていた。これで過去の状態は永遠に帰ってこない。これからは、この新しい立場を受け入れ、最終的には、それを喜ぶことになるのだと感じた。
リンダは笑顔になっていた。これから先、いろいろなことが起きる。それをブルースはどう対処していくつもりなのだろう。世の夫にとって受け入れるにはかなり辛いことが山ほどあるはず。もちろん、結局のところは、何らかの形でブルースはそれらを受け入れ、従うことなるはず。
でも、その過程において、少しくらいはブルースが抵抗を示してくれた方が面白そう。そんな期待すらするリンダだった。なぜなら、多少、夫が不快に思う手段を用いて、その挙句に、結局は思いのままに操る。それが何よりリンダにとって楽しいことだからである。
人生は楽しい。本当に楽しい。
おわり