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裏切り 第2章 (6) 

靴の方はというと、これは純粋なセレンディピティ(参考)で買うモノが決まった。僕たちは夕食まで空腹を満たすために「ミセス・フィールズ」(参考)の店に行きちょっとニブラー・クッキーでも買おうと歩いていた。

そして、その途中、靴の専門店の前をさしかかり、そこのウインドウでこの上なく素晴らしいサンダルを目にしたのだった。

そのサンダルは薄底で、足を包んだり覆ったりすると言うより、足を見せびらかすためにあるようなシークイン(参考)の細い赤のストラップがついていて、足首をバックルで留めるデザインだった。それが鉛筆ほどの細さの高さ15センチのスティレット・ヒール(参考)に乗っている。

ダイアナは、それを見かけたとたん、僕の腕を、関節から抜けそうなほどの勢いで引っ張り、店に僕を連れ込んだ。疑いようもなく、そのハイヒールはダイアナのドレスにまさにぴったりであったし、あるいは、彼女の魅惑的な歩き方に理想的なほど合っていたとも、言えた。

ダイアナは、お化粧のことになると、大変な勤勉家だった。もっと言えば、彼女がその気になれば、いつでもハリウッドで仕事を持つことができただろうと思う。そうではあったけれど、この日は、好きなだけ贅沢をする日と決めていたので、僕は、リッツ・カールトン(参考)の隣の美容サロンに彼女のために予約を入れていた。彼女の髪のセットや、化粧や爪の手入れをしてもらうためである。

ダイアナは「ちゃんとした見栄え」にうるさく、「ちゃんとした」効果が出るようにドレスとハイヒールに着替えたいと言い張った。それに、この機会を記念して、ネイル美容師に全コースをさせ、極度に妖しい魅力を放つ、ゴールド混じりのルビー色のネイル・アートを施させ、爪先も優しい曲線にしてもらった。足の爪も、それにマッチした施しをさせた。もちろん、これらすべては僕自身も喜んで薦め、同意したことである。彼女がそれまで来ていた外出着はショルダーバッグの中にしまわれ、その代わりに先に買ったジュエリーが出された。そして仕上げに香水を身体に吹きつけ、完成である。

美容サロンに入る前から、彼女は圧倒的な美しさだったのだが、その彼女が、今や、優雅さと、妖しさと、純粋な肉欲的魅力の三つがこの世のものとは思えぬほど見事に調和した美に変わっていた。


[2011/05/10] 本家掲載済み作品 | トラックバック(-) | CM(0)

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