イサベラはレオンが背中に近づいてくるのを感じた。彼の指が彼女の両袖を肩まで優しく捲り上げ、胸元へと忍び込み、彼女の小ぶりの乳房を包みこむのを感じた。イサベラは胸を触れられたまま、彼の顔を見ることができず、なされるがままになっていた。レオンの唇がうなじに触れるのを感じる。だが、やがて、彼の温かな身体が彼女から離れる。
「お前の柔らかな太ももの間に分身を埋込み、お前の甘美な体を味わいたい…その気持ちを、俺は、ほとんどないも同然の意思の力で押さえ込んでいるのだ。だが、そのわずかばかりの意思の力ですら、お前のその温かな唇に包まれたら、その瞬間に消え失せてしまうだろう」
イサベラは、背後にコツコツとレオンが去っていく足音を聞いた。たった今、レオンが言ったこと。その貴重な情報を考えながら、イサベラは心臓を高鳴らせ、緑色の瞳を輝かせるのだった。
~*~
夕食時、イサベラは、普段より多くワインを飲んでいた。そして、空いたゴブレットにお代わりを求めたときレオンが向けた怪訝そうな表情に頬を赤らめた。
彼女は必死に勇気を求めていたのである。そして、レオンに何か変だと気づかれないようにと祈っていたのだった。
その夜、彼女は独りで自分のベッドに寝た。期待にそわそわし、お腹のあたりが落ち着かなかった。シュミーズを着るべきか、長い間、必死に考え続けたが、結局、お気に入りのシュミーズを選び、それを着ることにした。普段と異なることをし、彼女のみだらな意図をレオンに気づかれるのを恐れてである。
そのシュミーズは、甘いチョコレート色のふわふわの生地で、クリーム色のリボンを胸の前で結んで締める形になっている。肩はあらわになっており、二本の細いリボンのストラップが掛ってるだけだった。