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報復 第1章 (7) 

バーバラがどこかに写っている写真は3枚あった。大邸宅でのパーティの写真だった。どの3枚も、彼女と例の男だけが写っているわけではなかった。それに、3枚とも、2人が中心位置に写っているわけではなく、脇の方にずれて写っていた。明らかに、2人はカメラマンが写そうと狙っていた人物ではない。

最初の1枚は、新聞に掲載するためトリミングされた写真の原板だった。六つ切り(20X25センチ(参考))のプリントは鮮明に写っていた。スティーブは、机の中段の引出しから虫眼鏡を取り出し、男の左手がどこにあるか確めた。確かに、お椀のような手つきで、バーバラの右の尻頬を触っているのが分かった。彼女の白いミニスカートは、そちらの側だけ、少しずり上がっていた。そこの部分だけ、スカートのひだ模様が他と明らかに位置関係がずれているのだ。男は、バーバラを引き寄せながら、尻を愛撫していたのだ。

スティーブは、意識的に口元の筋肉を緩めなければならなかった。彼は、歯医者に忠告されていたにもかかわらず、歯軋りしてしまっていたのだった。写真をその場でちぎり破ってしまいたい衝動を抑えながら、彼は落ち着きを保ち続け、その写真を脇に置き、2枚目に移った。

2枚目では、2人は芝生が生えたような場所でシャンペングラスを片手に立っていた。バーバラは右腕を男の腰に絡ませ、自分に強く引き寄せていた。男の左手は、バーバラの背中を愛撫しながら擦っている。そして、何より、2人の唇はしっかりと重なり合っていた。スティーブは、再び、知らず知らずのうちに歯を食いしばっているのに気がついた。彼はその写真を1枚目の上に重ねた。

3枚目の写真では、バーバラと男がパティオのテーブルについているところを写していた。2人は対面していて、男の方がわずかにバーバラの右側にずれている形だった。男は、今にもキスしようとしているように、彼女に顔を寄せているところだった。バーバラの顔には期待で興奮した表情が浮かんでいた。虫眼鏡で見ると、男の右手がバーバラの右の太ももの奥へ入っているのが見えた。男の指はスカートの中に入っていて見えない。この写真が撮られた後、男の手は、妻の太もものどこまで上がって行ったのだろうか? スティーブは呆然としながら、そんなことを考えていた。

「うがああああああ!」

スティーブはどうしても大声を上げなければならなかった。さもなければ気が狂っていただろう。最初の咆哮に続いて、第2の、そして第3の咆哮が続いた。いくら叫び声をあげても構わなかった。警務員は巡回中だったし、オフィス代わりのトレーラの中にいる彼の声を聞いたものは誰もいないだろう。スティーブは、何か殴れるものがそばにあったらいいのにと思った。トレーラの壁は薄すぎて殴れない。彼は、じっとこらえ、自分を落ち着かそうとした。

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