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無垢の人質 第9章 (11) 

「俺にはそうは思えないが?」 とレオンは柔らかな声で呟き、拘束された両手首を動かしてみた。スカーフがほどけないのを知り、彼は目を細めた。イサベラにとっては危険な兆候だ。

イサベラはおどおどと一方の肩をすくめた。そうやって薄地のシュミーズの肩紐を肩から滑り落とす。レオンが見ている前、軽いレース地の布が滑り降り、ツンと尖った乳首の先端に引っかかった。布地の端からローズ色の乳輪がかすかに顔を出した。レオンは固唾を飲み込み、イサベラは手に握る彼の分身が蠢くのを感じた。

「縛りを解くんだ」

そうレオンは命令したが、イサベラは下唇を噛み、小さく頭を振った。それに合わせて、乱れた深紅の長髪が両肩の周りを揺れた。

「イサベラ?」 

レオンはさらに目を細め、ピンク色に染まったイサベラの顔を睨みつけた。イサベラは恐怖を感じつつも、決して怖気づいたりすまいと意思を固め、ベッドの上、ぎこちない動きで身体の位置を変えた。そうして、すっかり固くなっている肉茎を握りながら、その指を優しく動かし、擦ってみた。レオンが息を飲むのが分かる。

「イサベラ…」 レオンは顔の表情を変えず、ただ、声をかすれさせて、繰り返した。「お前は、本当はこんなことはしたくないはず」

「どうして?」

イサベラは邪念なく、そう尋ねた。しかし、ある可能性が頭に浮かび、それまで続けていた優しい探究をはたと止めた。「私、あなたに痛みを与えてるの?」

レオンは、心配そうにこっちを窺うイサベラの瞳を見て、肺から呼気が震え出るのを感じた。

「い、いや! 違う!」 思わずがなり立てるような声になっていた。

「…俺が言ってるのは、お前の尻頬のことだ。後で俺の手にかかり、どれだけそこが熱く火照ることになるか、それを俺は気にしている」

「そう…」 とイサベラは安心して呟いた。だが、そのすぐ後で、

「まあ!」と甲高い声を上げた。レオンが、後で彼女にお仕置きの尻叩きをすると脅かしているのだと悟ったからだった。どうやら、今のレオンは危険な心境にあるみたい。だから今はスカーフを解くのは賢いことではないわ、とイサベラは思った。

彼女はレオンのことを無視することにし、再び、彼の肉茎に注意を向けた。なぜか、この姿に魅了されるのを感じる。両手の指で触りながら探究を続け、やがて触れていない部分がなくなるまでになる。その間、レオンはずっと無表情のままだった。歯を食いしばったままで、あごの表情は硬く、何も言わぬものの、両目からは彼女に重大な警告を発し続けていた。


[2011/06/27] 本家掲載済み作品 | トラックバック(-) | CM(0)

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