その私の言葉をマリアは遮った。
「ねえ、ベンにさせたいと思わない? 裸にして、あなたの前にひざまずかせるの。そして、あなたが何を言っても言うことを聞かせるのよ・・・鞭打ちされる姿勢にならせるとか、何でも。ただ、あなたにあまりにも惹かれているからって理由で、そういう風にならせるのよ。どう?」
私はどうしても想像してしまった。彼女は私の心に絵を描き、その絵を私は思い浮かべてしまったのだった。そんな風になっているベンの姿を。
「彼、そんなこと絶対にしないわ」
そう返事した。でも、それを言うべきじゃなかった。
「あら、彼、好きかも知れないわよ。そういうことする男の人いっぱいいるもの・・・あなたが一番疑っていないような人でもね」
私は声に出して笑った。「アハハ。でもベンは違うわ」
「彼に訊いたことあるの?」
「ないわ!」
この時も、ちょっと返事をするのが早すぎたと思う。私はまたくすくす笑った。
「訊くって、どう言ったらいいの。うふふ。例えば、ねえ、あなた? 私に鞭で叩かれたい? って?」
マリアはまた微笑んだ。
「これって、あなたが思っているほど、そんなに突拍子もないことじゃないのよ。でも、そういうの恥ずかしいと思うなら、それとなく彼の意向を探る方法はあるわ」
私は返事をしなかった。どうして今、こんな話し合いをしているのか、自分でも分からなかった。ともかく、彼女は先を話した。
「ベンが一番好きな妄想ってどんなのなの?」
「そんなのどうして私が知ってるわけ?」
マリアはまた笑った。
「そうねえ、どんな体験談? ストーリーとか?」
彼女が何のことを言っているのか考えていると、焦れたように彼女は続けた。
「ほら、ペントハウス・ヴァリエーション(
参考)とかそういう雑誌に載ってるの知ってるでしょう?」
私は、ぽかんとした顔をしたまま。
「あなたたち、ああいうの全然読まないの?」
「雑誌のこと? セックスについての記事?」