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裏切り 第3章 (2) 


モートンズでは、客もスタッフも目立つ人物には慣れていて、そのような人が登場したからといって、じろじろ見たりはしない。それでも、僕たちがテーブルへと案内されて歩く間、ダイアナは店じゅうの人々を振り向かせ、その視線を惹きつけた。

頭上の照明は暗めであったが、彼女の胴体を包むシークインに反射して、キラキラと繊細な光を放っていた。すべての男性は、ダイアナの誇張した、女性的で波に揺れるような歩き方に目を釘付けにされていた。

ダイアナは、デート相手とディナーに出たことは何度もあったけど、こんな場所に来たのは初めてだし、こんな反応を引き起こしたのも初めてだときっぱり断言したが、僕にはそれが信じ難かった。彼女のような圧倒的な華麗さを誇る女性に言われても信じられない。それでも、こんな素敵なブルネットの女性を隣に従えて、僕がどれだけ鼻高々になっているか言葉にできなかったし、彼女にもそう伝えた。

「また来たわね。本当に、あなたは押すべきボタンを全部押してくるんだから。その手を使いすぎると、女の子は慣れっこになってしまうかもしれないわよ」

「そこは計算済み」 と僕は苦笑いしながら、彼女をテーブルに着かせ、その後、僕も座った。

ダイアナは、怒って不機嫌になったフリをし、ピンポイントで探りを入れてきた。

「あなた、私の愛情をそんなに簡単に買えるとでも思ってるの?」

僕は肩をすくめ、無邪気な笑みを浮かべて、両手を上げた。手のひらを上に向けた、古典的な「誰? 僕のこと?」の身ぶりで。

それを見てダイアナは笑顔になり、ウインクをした。そして片手をもう一方の手で握った。

「まあ確かにうまくいってるわね。そのまま続けて。こんなふうに甘えさせてもらって嬉しいの。いつかは慣れられたらと思うけど。…でも、真面目に言って、今日という一日が私にどんな意味をもった一日になったか、言い表わす言葉がないわ。動機が何であれ、私にこんなに贅沢させてくれた人は、ひとりもいなかったもの。これって、『プリティー・ウーマン』(参考)を遥かに超えてるわ」

「でも、君のアパートには非常階段はないし、僕もまだ君をリムジンでさらってはいないよ」

「そう?…今日一日、車で動き回ったし、お買いものをしてくれたけど、このことは私をさらってくれたことと同じじゃない? 私の気を惹くために、車に『俺のセカンドカーはガルフストリームV(参考)』とかのステッカーでも貼ってくれるの?」

「うーむ、もしそれが必要なら…」

ダイアナは、毒気のある目で僕を睨みつけた後、にっこり笑って、両手で僕の手を握った。

「もうやめて! 私、真面目に言ってるの。ランジェリーに、コルセットに、ドレスに、ハイヒールに、アクセサリーに、それにあの素敵な毛皮…。私、その全部が大好き。そして私を女神のように扱ってくれたあなたが大好きなの」

「喜んでくれて嬉しいよ。君は、どれを身につけてもすごく似合うから」

テーブルの下、ダイアナは何気なさを装って、ヒールを履いた足で僕の脚の内側を擦った。それから、少しニヤリと笑った。

「着こなしのことについて言えば、私、密かに気が狂いそうになっているのよ。あなたが、私のためだけに、ランジェリーとコルセットとストッキングの姿でそこに座っているのを想像したら、そうなっちゃうの。大きくて素敵なおっぱいを誘惑的に突き出してる姿…」

これには恥ずかしさで狼狽してしまった。このレストランのすべての客が僕が服を脱ぎ、淫らな秘密を明かすのを見てるところを想像してしまったのだ。ダイアナは僕の心を読んだようだ。微笑んで、ほとんど気づかない程度に頭を左右に振って、僕の手を優しく揉んだ。

「いいえ、大丈夫。もちろん他の人には見えないわ。もっとも私は見てほしいと思ってるけど。お化粧もしてないしドレスも着てないのに、あなた、とても素敵だもの。今すぐ、テーブル越しに手を伸ばして、あなたの服のボタンを外して、中のブラウスのボタンも上の3つを外して襟のところを大きく広げたいわ。そうやって、あなたのエッチな深い胸の谷間を見せびらかしたい気持。もう、この衝動を抑えるので精いっぱい。この広い世界中に、この人が私の可愛いふしだら女なのよ、私のために、ここまでしてくれてるの、って教えたい気持なの」


[2011/07/27] 本家掲載済み作品 | トラックバック(-) | CM(0)

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