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デス・バイ・ファッキング 第12章 (5) 

ドニーの話し

日曜の午前、お昼近くに、破水した。その時、私はバスルームにいて、いつもの朝と同じくいろいろ身支度とかをしていたところだった。不思議なことに、いざ破水しても、不安になったり、怖くなったりはしなかった。落ち着いて階下に降り、アンドリューとディアドラに伝えた。

アンドリューは小部屋にいて、テレビでアメフト試合の試合前の盛り上がりの様子を見ていた。彼は冷蔵庫にハイネケンを用意していて、お昼時になったらビッグ・マックを買いにマクドナルドに走っていこうと考えているはず。アンドリューにはアンドリューの生活習慣がある。でも、今日は、その習慣は先延ばしにしなければいけないだろう。

「アンドリュー? 破水したわ。病院に行かなくちゃ」

彼は困惑した顔をして私を見た。「破水した? 本当に?」

「破水したのに気づかないでいる方が難しいわ」

でも彼は認めようとしない。「でも、今日は日曜なんだよ。クリーブランド・ブラウンズがボルティモア・レイブンズと戦うんだ。因縁の対決なんだ。子供たちは明日まで生まれないよ。いいね?」

「早くお医者さんに電話して。何が起きたかを伝えて、どうしたらよいか訊いて」

そう言って、レイブンズ対ブラウンズの試合を放り投げる責任をお医者さんに押し付けた。ここはジョージア州だから、お医者さんもファルコンズの応援をしたいだろう。レイブンズもブラウンズも関係ない。

ディアドラに伝えようと、キッチンに向かった。そうしたら、反対方向から来た彼女とぶつかった。そして、私たちは同時に言ったのだった。

「ねえ、何があったか分かる? 破水したの!」

私たちは抱き合って、声に出して笑った。ふたりとも涙を流していた。私はディ・ディに言った。

「アンドリューに話したら? 彼、心臓発作を起こすわよ。それにフットボールの試合も見れなくなるわ」

ディ・ディはアヒルのような格好で小部屋に入っていった。そして私も彼女の後ろアヒルのような格好でついていった。

「アンドリュー? 私たち破水したの!」

「いったいどういうことなんだ? 伝染病なのか? 本当に? 分かってるだろうけど、今日は日曜日なんだよ?」

ディ・ディは笑った。「アンドリュー? しっかりして。子供が生まれるの。私もドニーも。それも今日。分かる? あなたは今日、父親になるのよ」

アンドリューの扱い方について、私とディ・ディは違ったやり方をする。ディアドラは意のままに彼を操る。彼はほとんど問い返すことなく、彼女の求めることをする。私の方はちょっと笑いを交えて彼との関係を扱う。考えてみれば、彼は、私の求めることも、同じように何でもしてくれる。多分、私も彼を意のままに操っているのかも。

とにかく、ディ・ディの説得で、アンドリューは差し迫った出産のことをまじめに取ってくれた。アンドリューはお医者さんに電話し、お医者さんは私たちを病院に連れてくるように指示した。

車に乗り込む時、アンドリューが言った。「ちょっと変だと思わないかなあ? 君たちが同時に破水するなんて?」

私とディ・ディは顔を見合わせた。私たちはこれまでいつもどんなことも一緒だった。月経の周期も同じだったし。だから、破水も一緒になっておかしいはずはない。そういうふうに私たちは考えていたけど、アンドリューは違ったふうに感じたようだ。

「ひょっとして、ふた組の子供たちは、みんな一緒に生まれたいと思ったのかも。そう思わないかい?」

私は笑った。「アハハ…。アンドリュー? あなた、これまでの人生でいくつか変な理論を立ててきたけど、今のはいちばん変な理論だわ」

彼はおつに澄ました顔をしていた。「そのうち分かるから。そのうち…」


[2011/08/11] 本家掲載済み作品 | トラックバック(-) | CM(0)

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