それからベッドに戻って、腰を降ろし、靴を履いた。階下のキッチンに行ったが、朝食は取らないことにした。自転車を回収した後、コーヒーショップに行くつもりだったからだ。
玄関のカギを締めて、ガレージから外にでた。バレー・クリスチャン・アカデミーまで歩いて行くのは気が進まなかったが、他にどうしようもない。
道を歩きながら、昨日の夜のことを思い浮かべていた。ブラッドの母親をヤルのは、子供のころからの夢だった。それにしても、あの締まりの良さと濡れ具合の良さといったら、いまだに信じられない。俺は18でステファニは41だが、あの燃え上っていた瞬間、俺たちは一つに溶け合っていたように思う。
最初の角を曲がった時も、まだステファニのことを考え続けていた。ズボンの中、俺の分身が膨れ上がり、ヒクヒク言い出していて、ちょっと歩くのがぎこちなくなっていた。俺に後ろから嵌められながらも、壁の穴を通して知らない男のチンポを吸うステファニの姿。一つだけ確かなことがある。それは、絶対にこれで終わらせることはないということだ。
さらに歩いていると、近所の知り合いのおっさんが庭に出て、ホースで芝生に水をやっているのが見えた。
「よお、ジャスティン!」 とベンが開いてる方の手を振った。
「おはようございます、スワンソンさん」 と俺も手を振って歩き続けた。
いま立ち止って話しをするのは御免だ。顔をうつむき気味にして歩き続け、次の通りに入った。今度はグラフ先生のことを考えていた。調教がうまく進行しているので満足だ。先生は、俺の欲求ばかりでなく、自分の内なる欲望についても理解し始めている。
風が割と冷たい。最近は暑かったが、今日はずっと涼しい。急いで歩いていても、汗をかいていない。
次の通りに入り、ようやく2ブロック先の教会が見えてきた。俺の自転車も置いておいた場所にちゃんとあるのが見えた。電柱にチェーンでつないで置いてある。トリスタの母親や父親に見つかると厄介なので、できるだけ早く自転車を回収したいと思った。
自転車のところについて、素早くあたりを見回した。幸い、トリスタの父親はいなそうだ。だが、電柱につないでおいたチェーンを外そうと身体を屈めたとき、真後ろから俺を呼ぶ女の声がした。
「あら、ジャスティン」 と優しい声。
俺はびっくりして振り返った。つい何秒も前には誰もいなかったのだから。少し考えてからようやく口を開いた。
「あ、おはようございます。ケネディさん」 とトリスタの母親の目を見て言った。
「この自転車、誰の何だろうって思っていたのよ」 と彼女は大きすぎると思われる服を正しながら言った。
「昨日、ここに置いて行ったんです。今からトリスタに会いに行きたいので、自転車を取りに来たんです」 と自転車のスポークからチェーンを抜き、サドルの下に巻きながら答えた。
「そう…。今からトリスタに会いに行くのね?」 と彼女は俺の隣に立って訊いた。
「ええ」
「トリスタは引っ込み思案だから、あなたに訊けるかどうか分からないわねえ。私から訊いておいた方がいいかも」 とケネディ夫人は前かがみになって、道に落ちていたゴミを拾った。
「訊くって、どんなことですか?」 と自転車にまたがりながら訊いた。
「トリスタは、あなたに今夜のディナーへ招待することになっているのよ…。来てくれる?」 と彼女は笑顔で俺に訊いた。
俺はちょっと考えた。トリスタの父親をみじめな気持ちにさせるにはどうしたらよいかと。あいつは俺を嫌ってる。あのバカおっさん! あいつを怒らせてやりたいと思っていた。
「ええ、じゃあお招きにあずからせていただきます」 と俺もトリスタの母親に微笑み返し、自転車のペダルを踏み始めた。
「6時半だけど、いい?」
「ええ。6時半ですね。じゃあ、その時また!」 と振り返り、手を振って答え、ゆっくりと自転車をこぎ出した。
トリスタの母親も俺に手を振っていた。
コーヒーショップに向かいながら、今度はトリスタの母親のことを考え始めていた。あんなダブダブの服を着ているが、あの中にはどんな身体が隠れているのだろう。トリスタは母親似なのだろう。顔はかなり可愛い。多分、身体の方も結構いけてるに違いないと思った。あの服のせいで、分からないが。
ともあれ、今夜、夕食のときに、どんな身体をしてるか、そのヒントを覗けるかも知れない。