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淫乱ママ 第5章 (19) 

3人は自分のカメラをいじり始めた。モデルを迎えての大事な時に備えて準備をしている。わたしは何もすることがないので、鉄道の車両の下から突き出ている梁に腰かけて、みんなを眺めていた。

この時も、ジェイソンは、わたしが見ていない隙にチラチラとわたしのことを盗み見していた。それに、フランクも時々わたしのことを見ている。フランクと目があうと、なんだか怖くなってわたしは目を避けていた。

ようやく、それから10分くらいしたら、車が近づいてきて、止まった。中からティムが飛び出てきた。堂々とした足取りで、みんなの方にやってくる。

「ダメだ。モデルなし。最後の瞬間にキャンセルされちゃったよ」

「ティム、あのモデルに何て言ったんだ!」 即、フランクが文句を言った。

驚いてしまったけど、ティムはぜんぜん怖気ずく様子もなく、まっすぐにフランクに顔を向けていた。ティムはフランクより背が低いし、体格も小さいのだけど、どういうわけか、堂々としていて、自信がある雰囲気を醸し出している。

「俺たちが考えていることを言ったんだ。それだけ…」

「ティム、お前なあ! 最後まで何も言うなって言っただろ!」 とフランクが怒鳴った。

ティムはぜんぜんひるまず、まっすぐにフランクを見ていた。

「彼女が訊くもんだからな。訊かれたら、俺は嘘は言わないよ、フランク」 ティムは厳しい口調で答えた。

二人ともかなり険悪な感じになっていた。ひょっとしたら、殴り合いになるかもと心配した。トミーもジェイソンも、ただ見ているだけで、言い争いに割り込もうとしない。困ったわ…。事態が手に負えなくなる前に、この険悪な状況を和らげなくちゃ…。

「あのね、みんな…? わたしにできることあるかしら?」

フランクとティムは、まるでわたしの存在に気づいていなかったみたいに、わたしのことを見た。ふたりとも怒った顔をしていたけど、それがゆっくりと、好奇心に満ちた顔に変わった。ゆっくりとふたりのところに歩いて行くと、状況から険悪さがみるみる溶けていくみたいだった。とうとう、二人の間に来て、そこに立った。ふたりとも、怒りの表情は消えていて、むしろわたしを称賛する顔になっていた。

「すみませんが、まだあなたに…」 とティムが礼儀正しく手を差し出した。

「トミーのお袋だ、ティム」 とフランクが言った。何だ、拍子抜けしたよといった感じで、どこか声にがっかりしたような色があった。

それを聞いてティムは目を丸くした。わたしはフランクに「あなたは黙っていなさいよ」って言いそうになったけれど、何しろ、あの大きな体格だし、目つきも鋭いので、ちょっと怖くて言えなかった。それでも、さっきのフランクの言い方は大嫌い。

「トミーのお母さん! 初めまして、ミセス…」

「ケイトと呼んで」 と、わたしはティムに笑顔を見せた。

「どういうことになっているのか、事実を全部知ってるわけじゃないんだけど、どうやら、あなたたち、何かウェブ・サイトを立ち上げようとしてるんでしょ? だけど、あてにしていたモデルさんが、約束を取消しちゃったと。でも、そんな大きな問題じゃないんじゃない? つまり、その人の代わりになる人なら、探せばどこか他にいるんじゃない?」

そう言いながら、フランクの方を見てちょっと嫌な顔をして見せた。

「ママ、僕たち、そのモデルにお願いするのにどんだけ時間をかけたか知らないんだから。彼女だと完璧なんだ。そのために、いろんな準備をしてきたんだから…」 と息子が熱心に説明した。

「ちょっと…、ちょっと待って…」 とジェイソンが割って入った。「で、ケイト…、ケイトはどうかなあ? ケイトはモデルのようだって、俺、もう言ったよね。代役をするのはどうかな?」

突然、みんながいっせいにわたしに視線を向けた。四方から視線を浴びせてくる。みんなの目がわたしの身体を上から下までじろじろ見ている。

ショックだった。こんな流れになるとは全然予想していなかったもの!

「わ、わたし?… だ、ダメよ…。どうしてよいか分からないもの…。ダメダメ、絶対ムリ!」

どうして、突然、雰囲気が妖しくなったの? 4人に取り囲まれて、わたしは全身の肌から一斉に汗が吹き出しそうになっていた。

「トミー? お前、お母さんがポーズを取っても気にしないよな?」 とジェイソンがウキウキしながら訊いた。

「ぜんぜん。ママならすごくいいと思うよ!」 と、息子が問いかけるような顔でわたしを見た。

わたしは頭を左右に振っていた。どうしてこんな展開になってるのか信じられない。フランクとティムのケンカの仲裁に入った時、こうなることはぜんぜん思っていなかったのは確か。

「いいだろ、ケイト。どうにかなるって…。俺たちのためにモデルになってくれよ」 とフランクが言った。

みんな、わたしのことを見ている。返事を求めている。ひとりひとり、顔を見たけど、みんな興奮した顔で、わたしのことを称賛している顔。本当にそれを期待しているの?

フランクさえも、多分わたしのことあまり気に入っていないと思うのだけど、期待した目でわたしのことを見ている。

息子を見たら、声には出してないけど、「頼むよ」って言うように唇を動かしていた。

「いいわ。オーケー。でも、モデルになるのはいいけど、どの写真をサイトに使うかはわたしが決めるけど、いいわね」

「オーケー、問題なし!」

「もちろん、いいよ!」

「ああ、完璧だ!」

4人はニヤニヤ笑ってわたしを取り囲みながら、うんうんと頷いた。


[2011/09/26] 本家掲載済み作品 | トラックバック(-) | CM(0)

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