2ntブログ



ライジング・サン&モーニング・カーム 第2章 (3) 


その日、夜になり、ノボルは山奥へと連れられた。そして一行が目的地に着くと、衛兵たちは無遠慮にノボルの背を押し、地面にひざまずかせた。月の光の元、ノボルはそこが、ある種、切り開かれた場所であり、犬の石像が点在しているのが分かった。

いや、違う。犬ではない。……狐だ。

枯れ枝ががさがさと鳴り、折れる音がし、ノボルはその方へ目を向けた。

女がひとり近づいてくる。その身体は引き締まり、肌は、青白い月光の中、大理石のような光沢で輝いていた。ゆったりと着物を羽織っており、腰のところで帯締めしているものの、その豊かで張りのある胸が歩く動きに合わせて彼を招くように魅惑的に揺れるのが見えた。見事な形の腰を振りながら、のらりくらりと歩き近づいてくる。

女が近づいてくるのにしたがって、ノボルは女が動物の面をつけているのを知った。そして、その時、女の正体を知ったのだった。その女は狐使いだった。

女は、膝立ちしたままのノボルの前に立った。彼の顔は女の腰の少し下にあった。面のうつろな目の奥から、淫らな色がついた声がし、ノボルを迎えた。

「ようこそ? ナガモリ・ノボル・タケオ・ツネオ」

ノボルは女を無視し、代わりに夜空に浮かぶ月の真珠の母貝のような表面を見ようとした。女もノボルの視線を追って空を見上げ、そして笑った。……低い、くぐもった笑いだった。

「なんとふさわしいこと。お前の名の意味を考えれば、吉兆よの。永遠の森の、常に登りつづける武者とは」

女はノボルの前にひざまずいた。ノボルの目は、屈みこむ女の胸の乳白色の肌に引き寄せられた。左右の完璧な肉丘の頂上にツンと立つ固い乳首を目にしても、なおノボルは勃起を抑え込んだ。

女は、ノボルがなかなか興奮しないのを察知してか、さらに前のめりになり、さらに自分の身体を彼に見せつけた。

「殿に対する忠誠心の欠如の罰として、お殿様は、お前が永遠に健康であり続け、死の安らぎを剥奪されるようお決めになられたのだ。さあ、始めようか?」

「俺に何をするつもりだ?」 ノボルは不安げに訊いた。

「ナガモリさま? 私は、あなた様が望まぬことなどするつもりはないのですよ」 と女は彼の耳元に囁きかけた。

そう言うなり、女は驚くべき早さでノボルの着物の中に手を滑り込ませ、巧みな手つきで彼の半立ちの分身を擦り、完全に勃起させた。

そして手を抜き、指に光る液体を見て、声高に笑った。そしてもう一方の手で、面を外し、ノボルを見た。

女は目も眩むほど美しかった。その見事な外見にこの美しい顔とは、ほとんど度が過ぎた完璧さと言っても良かった。長いまつげの下から彼を見る瞳は、苔のような深い緑色。ふっくらとした唇は朱に染まり、ノボルの勃起を見て、妖しく微笑んでいる。

女はその指をゆっくりと舐めながら、肩から絹の着物を滑らせ、脱いだ。その姿に、ノボルも含めて周りにいるすべての男たちが溜息を漏らした。裸体になってもこの女は、不気味で恐ろしいほどに完璧だった。見事な形の太ももは肉感的官能に満ちた臀部へつながり、平らな腹部は女性的な曲線を描いて、無毛で滑らかな恥丘へと通じている。

邪悪に微笑みながら、女は立ちあがった。ノボルの顔の前につるつるの女の部分の肌がきていた。

女は淫らな溜息を漏らし、言った。

「ああん、ナガモリさま? ……一度だけ、あなた様に逃れる機会を差し上げますわ」

と、女はノボルの手首の拘束を解いた。

「…でも、あなた様は逃れることはないと思いますけど? うふふ…」

女は立ったまま指を自分の陰部に滑り込ませ、そして引き抜いた。女自身が出した白い真珠のような滴の糸を引いていた。女は前屈みになり、その手をノボルの口で拭った。ノボルの唇に女の体液がとろりとついた。ノボルは、何も考えず、舌舐めずりし、それを味わった。

この世のいかなるものとも違った味がした。すでに手首を結えていた紐は解け、地面に落ちていたが、ノボルはなぜか逃げる気にはなれなかった。

女はノボルの前、仰向けに横たわり、自分の指で陰部の唇を開き、ぬめった体液をそこに塗りつけていた。

「来てください、ナガモリさま。私が欲しければ、奪ってくださっていいのですよ」



[2012/02/01] 本家掲載済み作品 | トラックバック(-) | CM(0)

コメントの投稿















管理者にだけ表示を許可する