その2週間後はバレンタインデーだった。それが土曜日にあたるのを見て、僕はアンジーのために何か特別なことをしようと思った。僕はあるアイデアを持っていて、それは、僕がフレンチ・メイドの服装になって、アンジーに一日中ご奉仕するというアイデアだった。実のところ、そのアイデアは「シシー・ワールド」の雑誌から得たものだった。あの雑誌の中にメイド姿になった人の写真があったのを思い出したのである。
どこに行けばメイド服が買えるのか分からなかった。だけど、以前、アンジーがギャフ(
参考)を買ったお店に行けば帰るかもしれないと思っていた。アンジーはあの後もギャフを買い足しに2回ほどあの店に行っており、コスプレ用の服も含めていろんな衣類を売っていると僕に話していたから。
でも、自分でメイド服を買うというのは勇気がいることで、僕はずっと買いに行くのを先延ばししてしまい、結局、その店に入ったのはギリギリで、バレンタインデーの前日だった。
店に入る時、どれだけナーバスになっていたか、話しても分かってもらえないと思う。実際、店の近くの道路に車を止め、店に入る勇気を奮いだすため、30分近く車の中にいたのだった。なんだかんだ言っても、その店は女装する男性のための店なのである。店の人がメイド服は僕が着るものだと思ったら、僕はどうしたらよいのだろう。結局、僕は、ガールフレンドのために買うと店の人に言うことに決めた。
ようやく勇気を振り絞って、店に入った。最初に僕があっと思ったのは、その店の匂いだった。皮製品のムッとする匂いやラテックス製品のツンとくる匂いである。この二種類の匂いに隠れて、わずかにラベンダーとシナモンの香りがした。
僕が入って行った店の部分は、奥の方にあるセクシュアルな装身具が飾ってある部分だった。ストラップオン用の革ベルトが数点飾ってあった。いずれも大きなディルドを装着した形で飾ってある。もちろん他にも様々なディルドやバイブが飾ってあった。
さらに奥手に進むと、アンジーが言っていた通り、様々な種類の衣類でいっぱいの部分が出てきた。女性の足には大きすぎに見えるものの、デザインは明らかに女性用の靴もたくさんあった。
コスプレ用のコスチュームはどこにあるんだろうと見回していると、突然、後ろから肩をとんと叩かれ、僕はびっくりして跳ね上がりそうになった。振り向くと、非常に背が高い中年女性が立っていた。180センチは軽く超える背の高さ。ハイヒールも履いているので、190から195センチはありそうに思った。長く美しいブロンドの髪の毛をしてて、肌は白く、瞳は青で、サクランボのような色の唇をしていた。その笑顔はとても温かみがある。
僕がびっくりした顔をしてたのを彼女が見たのは確かだろう。
「びっくりさせてごめんなさい。ここでは何も怖がるべきものはありませんよ。噛みついたりしないから。うふふ。私の名前はアンナです。何かお探しのものでも?」 と彼女は握手を求めて手を差し出した。
「僕は、その……メイドのコスチュームを探していたんです。……僕のガールフレンドに送るための…」 と、説明したが、言葉がたどたどしくなっていた。
アンナはぱっと明るく笑顔になって言った。「ふーむ、あなたなら、メイド服を着たら素晴らしいでしょうね。フレンチの…」
「あ、いや、…ええ、そう、フレンチメイドの服です。ですが、それは僕ではなくて僕のガールフレンドのためであって…」
アンナは右手をのばして、僕の左のイヤリングに触れた。「もちろん、そうでしたわね。あなたの可愛いガールフレンドのため。…では、一緒に来てください。いくつかお見せしますわ」