息子と同じ年の男の子にケイトと名前で呼ばれ、ちょっと変な感じがした。だけど、それで、かえってみんなとすぐに打ち解けやすくもなったかも。
それまでわたしは首までお湯につかっていたけど、マリファナだと聞いて、どんなものなんだろうとちょっと身体をお湯から出した。実際、わたしはそれまでマリファナを吸ったことも、見たこともなかったから。
わたしの胸のところがお湯から出ると、みんながいっせいにそこに視線を向けるのを感じた。まあ、でもかまわないかな。みんな、すでにわたしのビキニ姿を見てしまっているんだし…。
でも、その時、わたしが気づいていたかったのは、わたしが着ていた白ビキニが濡れたとたん透明になってしまっていたこと。乳房も、乳首も、乳輪も、ぜんぶみんなに見えてしまっていた。でも、わたしはそれに気づかず、ジェイソンが持ってるマリファナを見ながら、立っていた。
「オーケー、でもね、わたし吸ったことないのよ。どうすればいいの?」 と、わたしは、どうしてみんなわたしのことを見ているのか不思議に感じながらジェイソンに訊いた。
「簡単だよ。ただ吸いこんで、ちょっとだけ肺に留めておくだけ」 とジェイソンはマリファナに火をつけた。
みんながわたしのことをじろじろ見ていたんだけど、特に、あの、初めて会ったばかりの若い女の子の視線が気になっていた。ずっとわたしのことを見つめている。
他の子たちは、わたしが視線を合わせると、どうしてか目を逸らしていたのだけど、彼女だけは別。視線を合わせても、ずっとわたしを見つめている。何か直接的なものが彼女の目に浮かんでいた。まるで、わたしの姿を見てショックを受けているような表情…。何か欲望を…わたしに対する欲望を抑え込んでいるような表情…。
彼女が誰なのか訊いてみることにした。
「ねえ、わたしたちまだ会ったことがないと思うんだけど。わたしはケイト」
そう言って、その女の子に手を差し出した。顔にそばかすがあって、とても可愛い子。髪はブロンドで、ショートにしている。
その時まで、その子はお湯の中に身体を沈めていたけど、彼女も握手をするために手を差し出した時に、彼女の身体が見えた。そして、そのビキニのトップに覆われた豊満な胸に目を奪われた。え、こんな若い子なのに、こんなにゴージャスな胸をしてるの? 正直、驚いた。その子が18歳なのは確か。でも、普通。こんな大きな胸をした18歳の子は、そういないわ。
「私は、エレーンです」 とその子は優しい声で言った。
ちょっと珍しい名前だけど、彼女にはぴったりの感じ。控え目で、自分に自信がないような雰囲気の子で、ずっと無口気味にしていた。わたしは笑顔になって握手した。彼女も笑顔になっていたけど、握手を終えるとすぐにお湯の中に身体を沈めてしまった。
どうやらエレーンをここに連れてきたのはスティーブらしい。というのも、スティーブはときどき彼女に話しかけながら、腕を彼女に回そうとしていたから。でもエレーンの方は、彼の腕をすぐに払いのけていた。
エレーンと会話はそれだけで終わってしまった。ジェイソンがマリファナに火をつけ、みんながまわし吸いを始めたから。すぐにわたしに順番が回ってきて、唇に咥えて、吸いこんでみた。煙がグッと来て、思わず咳きこんでしまい、みんなが笑っていた。
「みんなに言ったでしょう。初めてだって」 と咳をしながら呟いた。
「そうだね、じゃあ、もう一回、吸わなくちゃ」 とジェイソンがわたしの肩に腕を回しながら言った。「さあ、今度はゆっくりと」
ジェイソンはわたしの手を取り、再びわたしの唇にマリファナをあてがった。今度はちょっとだけ吸いこんで、そのまま息を止めた。すると、まわりの風景がゆっくりと暗くなっていって、頭の中がゆらゆらしてきた。息を吐き出すと、ゾクゾクする感じが身体じゅうに広がった。
まわりを見回したら、みんながカップルになっているのに気づいた。スティーブはエレーンのそばにくっついたまま。ジーナはトミーに近寄っている。わたしはジェイソンのそば。気がつくとジェイソンはわたしの身体に腕を回して、引き寄せている。
ジェイソンはわたしの半分ほどの歳だけど、わたしはどうしてか興奮していた。こういう興奮、高校生のとき以来、感じていなかったかも。高校生の時は、両親に家にいて勉強させられていたので、こういうパーティにはめったに出られなかった。こういうのが若者たちのパーティなのね? わたしがここにいるのは場違いというのは知っていたけど、もうちょっとお付き合いしてみようかなと思った。