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裏切り 第4章 (15) 

歩き方をわざと誇張していると取られてもおかしくないほど大げさに腰を振り、しゃなりしゃなりと店の人たちの前を通りすぎ、私の女神の隣の席に戻った。前に私が座っていた席である。

そんな歩き方になった理由の一部は、そうしないといけないと思ったから。この1週間、私はガニまた歩きをしてるんじゃないかと気になっていたのだった。もうひとつの理由は、ドラマを演じたいと思ったから。ダニエルがつけたコンドームはちゃんと仕事をしたけど、たっぷり使った潤滑用のゼリーがまだ中に残っていて、そのヌルヌル感のために、彼に本当にたっぷりと中出しされたような感覚になっていた。そのため、男の出したスペルマをあそこにたっぷりと溜めたまま、愛する人の元に帰ってくる女のような、ちょっとイケナイ女になった気分がしていたのである。私は、店にいた大勢の客が楽しめればと、そういう役を演じる気になっていたのだった。

私はちょっと陽気な感じを装って、腰を降ろした。片脚をもう一方の脚に乗せ、脚を組んで座る。脚を組む時、ストッキングとストッキングを擦りあわせ、少しだけざらっとした音を出した。もちろんその音は、この店の大音響のサウンドの中では、聞こえたと言うより、そう感じられたと言った方が正確だろう。

私はダイアナにもたれかかるようにして近づき、鼻先を彼女の頬に擦りつけ、そして耳元に囁きかけた。

「私がいなくて寂しかった?」

そう言いながら、彼女のドレスの上から太ももを優しく擦り、私の意図した含意をそれとなく伝えた。ダイアナはぐいっと顔を上げ、私と視線を合わせた。彼女の眼には何か熱く鋭い表情があって、その感情を解釈するのは私には難しかった。

「楽しかった?」 とダイアナは注意深く言葉を選んで言った。

「ええ、もう!」 と私は大きな声で返事した。「チャンタルは正しかったわ。彼女、私がいろんなことを正しい見地から整理し直すためには、大きなおちんちんにしてもらうのが必要って言ってたのよ」

「あの男にやられたって、そういうこと?」 と彼女は吐き捨てるように言った。

私はぱっと明るい顔になり、首を縦に振った。「やられたのなんのって!」 大きな声を出していた。「私のこと、誇りに思ってくれる?」

「もう店を出ましょう!」 

ダイアナは厳しい顔になっていた。返事する間もなく、彼女は立ちあがり、コートを羽織った。リッチーはすぐに空気を読み、すぐ後にカペジオのバッグがカウンターバーの上に置かれた。ダイアナはそれに全然気づいていないようで、わき目も振らず私の手首をぎゅっと握り、ぐいぐい引っ張り、歩きだしていた。掴まれた手がそっちの方で良かった。私が椅子から引きずり降ろされる間際に、なんとか空いてる手でバッグを回収することができたから。

お客の人だかりでなかなか進めなかったけれど、それでもできるだけ早く出口に向かった。出口では、ダイアナに急かされたけれども、私はジミーに感謝を述べ、さっき申し出てくれた招待については、またの機会にお願いと伝える時間だけは、何とかねばった。

車を駐車していた場所に着くのも、記録的な速さと言っていいほどだった。私のメルセデスをとめておいた場所は、いちばん奥のスペースで、暗闇に包まれている場所だった。

そこに着くとダイアナは、何の前触れもなく突然、私を押し、車のトランクに覆いかぶさるようにさせた。そして私の後ろに来て、自分の太ももを使って私の太ももを押し広げた。スカートは腰のところまで捲り上げられ、気がついた時にはパンティも膝まで降ろされていた。この、ダイアナの私を奪うやり方に、優しさのようなものはまったくなかった。

「あんたも、こうされるのがいいんでしょ? ええ? 淫乱」 とダイアナは怒鳴り、私のあそこを彼女のクリトリスで貫いた。

「あいつと同じくらい感じる? 私には『ヌルヌルの二発目』(参考)なんて全然構わないから。私のために穴を緩めておこうと、誰か男にやらせたいんでしょ? それなら、ひとりだろうが、ふたり、三人だろうが何人でも、全然かまわないから」

ダイアナは、その言葉のリズムにテンポを合わせて私に強く押しこんだ。いったい私はどんな彼女を怒らせるようなことをしたのだろう? 全然、分からなかった。「怒り」という言葉が、彼女の感情を表すのにまさにぴったりの言葉だった。

その夜はかなり寒かったのだけど、ダイアナの燃えさかるような怒りの感情によって、寒さがほとんど相殺されていた。―ほとんど。ダイアナにとっては、身体の中はアドレナリンが充満しているようだし、身体の外には足まで届く丈の毛皮のコートを着ていたから、たぶん、焦げるほど熱くなっていただろう。一方、私は、寒さをしのぐための服として、薄地のスエードのジャケットしか着ていなかった。それはそうであったけれど、このダイアナの獰猛な攻撃。この攻撃は、身体的に私を痛い目に合わせようとした攻撃ではない。ダイアナの言葉は正確だった。確かにダニエルは私の身体をゆるゆるにしてくれていたのであるから。ダイアナの攻撃は精神的なものであった―そして、的を射たものだった。ダニエルとの行為の経験、そして今はこの攻撃。それらをされて、受けとめている自分。まさに、自分が淫乱女になった気持ちだった。そして、真に恐ろしく感じたのは、自分がこのようにされることを嬉しくて仕方ないと感じているところだった。

その夜、二度目の射精に至ったのは、まさにそのような感覚を感じたことがきっかけだった。二度目であったけれど、一度目よりも激しい射精だった。ダイアナも達していた。私のお尻をクリーム色の精液で溢れさせていた。

共に射精を終え、ふたりとも恍惚状態になっていた。私は車のトランクに突っ伏し、その私の背中に彼女が突っ伏して重なっていた。

しばらくした後、私も彼女もゆっくりと意識を取り戻し始めた。



[2012/03/05] 本家掲載済み作品 | トラックバック(-) | CM(0)

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