ディ・ディとドニーは、忙しいながらも、何とか僕たちのビジネスである人類向上機構の運営をしてくれていた。そればかりではなく、ふたりともそれぞれ博士号の取得も行った。さらには、時々ではあるが家事もしていた。僕の方は、子供たちの相手と自分のプログラミングの仕事をするのが大半である。料理と食品の買い物も僕の仕事である。スーパーに行くと、割と綺麗な奥様たちがたくさんいて、それも目の保養になるし。
そんな感じで安定した生活をしていたが、僕には何か危険なことが待ち構えているような気がしていた。いつの日か、どこかの誰かが僕たちのことを感知し、追跡し始めるのではないか。そのようなことをするとすれば、多分、政府関係の者たちだろう。
なんだかんだ言っても、次世代に向けて僕たちが行っているムーブメントのポイントは、消費中心社会にちょっとした風穴を空けることなのである。そのようなムーブメントが、このアメリカという国で最も強い権力を持つ集団とは、折り合いが良くないのは確かだし、現在の政府が、全面的に統制ができる立場を保持したがっているのも確かなのである。僕たちはかなり統制が効かない存在なわけだから、連中にとっては僕たちは目ざわりな存在になるはずなのだ。
それに、僕たちが、実質、天才たちの種族を作ろうとしている事実から目を背けることはできない。僕は確かにかなり頭がよいかもしれないが、次の世代の子供たちと並べば、僕は、精神的には小人みたいなものだろう。実際、ちょっと前に、うちのEガールたちにIQテストをしようとしたことがある。僕の点数は155点だった。自分でもかなり良い成績だと思った。だが、子供たちはその点数を軽々と越えてしまったのである。確認できたのは、200点を超えたというところまでだった。何点くらい200点を超えたのか、僕には確かめようがなかった。
現時点では、僕らは小さな集団であり、世の中には気づかれていないと言える。だが、僕たちが目論んでいる子孫作りの計画がうまくいった場合、大規模な勃発が起きるだろうと思われる。
僕自身の家の中に限定しても、6年前には女性2人、男性1人だけだったが、今は、女性6人、男性3人になってる。これでも成果といえる。それに加えて、ディ・ディたちがお膳立てしたネットワークを通して双子たちとの非公式的なベッドインもしており、それによって僕には今や185人の子供がいる。内訳は89組の双子の女の子たちと、男の子7人だ。僕たちが知る限り、その子供たち全員が天才であるし、全員、テレパシー的な能力を持っている。僕は何もしないし、何も知らない。突然、女性が家に現れて、僕はその日の午後、その女性を妊娠させようと雄々しく振舞って過ごすだけ。たいていは、成功する。素晴らしい人生だ。
その数に2000を掛けた辺りで、僕たちは騒動を起こし始める。その時までに準備を整えておきたい。すでに、この腐った国じゅうに200人近くの子供たちがいるときに、それを秘密にしておくのはどれくらい簡単なのだろうか? ともあれ、僕は非常に繁殖力のある男らしい。