レオンは、腕の中にイサベラを抱き寄せ、彼女の甘美な曲線美を他の者の目に晒さぬようにと、しわができたシーツに手を這わせた。だが、手の先には冷たいシーツだけ。何もない。一瞬、彼は眉をひそめたが、すぐに愉快そうに唇を歪めた。あの可愛い臆病娘は、昨夜の行いに対して、優しくお仕置きをされるのを怖がり、自分の小部屋にこっそり逃げ帰ったのだろう。
レオンは昨夜のイサベラのことを思い出し、分身が固くなるのを感じた。
彼の勃起にまたがり、自分から腰を沈め、自らを貫いたイサベラ…。官能の高まりに耐えるかのように胸板に爪を立てていたイサベラ…。ベッドに縛り付けられたまま上に乗られたときの極上の焦らし…。自分の分身を自らに入れていく官能的な姿を否応なく見せつけられる興奮…。上下に身体を動かしながら漏らした小さな喘ぎ声…。シルクのシュミーズの中、ツンと立った小さな乳首が布地に擦れ、まるで、吸ってとねだっているような姿…。
レオンは枕に顔を埋め、ううっと唸った。
イサベラの無垢な眼差しと喜ばしい体の曲線。レオンはイサベラを見た最初から魅了されていたのである。だが、彼はそういう感情で自分の復讐の進行を曲げてしまうのは許さなかった。そして、彼女を捕虜にしている間、その処女を奪い、彼のあらゆる肉欲に応ずるよう無理強いしてきたのだった。イサベラにとって不幸だったことは、レオンの父親を殺した男の娘だったこと、それだけだったのだった。
今も、レオンは自分の行為を完全には悔いていない。悔やんでいたのは、ふたりの境遇だけだった。
彼はイサベラを色欲の絆で彼の愛の奴隷にしようとした。脚の間に彼の身体が押しつけられる感覚を恋焦がれるようにさせようとした。だが、そのような時の彼女の無垢な官能性に、むしろレオンの方が息を詰まらせたのだった。彼女を愛の奴隷にしようとしたのに、自分の方が奴隷になってしまっているとは…
そんなことを思っていた時、目の隅で影が動くのを見、レオンは息をひそめた。目を細め、剣を置いてある所に視線を向けたが、それは金の刺繍を施した椅子の上にあった。そこには腕を伸ばしても届かない。
しかし剣を取らねば…、と腕の筋肉に力を入れようとした時、聞き覚えのある声が聞こえた。
「動かないで」
レオンは声の主の方に素早く顔を向けた。そして、朝日が剣の刃を銀色に照らし、その持ち手を女が固く握りしめているのを興味深そうに見た。レオンは身体の緊張を解いた。
「マリー、お前か…」