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デス・バイ・ファッキング 第15章 (1) 

「デス・バイ・ファッキング」 第15章 あまりにホモサピエンスな Death By Fucking Ch. 15: So Sapien by thebullet



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これまでのあらすじ

アンドリューはディアドラ(ディ・ディ)とドニーの双子姉妹と衝撃的な出会いをし、身体を重ねた。彼女たちには秘密があった。彼女たちの家系は双子の娘しか生まれず、自分体が新人類かもしれないということ。アンドリューも同類という。二人から人類向上機構IAMと呼ばれるIQの高い人間の選択を目的とした組織について話しを聞いたアンドリューは、会社を辞めディ・ディたちと結婚しIAM事業を引き継ぐ。彼らにはふた組の双子娘と息子が一人ずつできた。みな天才であった。アンドリューはなぜか子供たちの心が読めていたし、子供たちも人の心が読める。彼はIAMに属する子に恵まれない双子たちとセックスを始める。繁殖が進みつつある頃、家に政府関係の男が侵入し、子供たちを奪おうとしたが、機転を利かせて男を撃退する。

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ディアドラの話し

誰かが私たちの子供たちを狙っているとしたら、次世代に属する他の子供たちも狙われていると考えるべき。アンドリューはとても繁殖力がある。彼が繁殖できなくなる前に、世界記録の本に掲載されるかもしれないほど。

私たちは次世代の子供たちの親に、このことを知らせたいと思った。アンドリューは電話やEメールを使うことは嫌がった。通話やメールは監視されているかもしれないから。そんな頃、私たちは、子供たちがまた別の才能を持っていることに気づいたのだった。

私はエレと一緒にいて、お話を読み聞かせていた。私たちの子供たちが6ヶ国語を話せ、コンピュータ・プログラムを書け、悪漢を身動きできなくさせられると言うのに、いまだに子供のままでいるというのはちょっと不思議な感じでなのは確かだけど。

でも、子供たちは、ひょっとすると二十代になるまで大人にならないかもしれないと思わせるところがたくさんあった。それは私たちの、つまりドニーと私の理論であって、アンドリューの理論ではない。この新種の人類は学ぶ必要のあることがたくさんあるので、子供時代は長くなるのではないか、と私とドニーはそう思っていた。

エレは物静かな子だ。エレが何か言う時は、エミーが何か間違ったことをしでかしたことを指摘するためなのが普通。エレが知ってて指摘しないことがあったらどうしよう。何だか気になって、心配になってしまう。

この時のエレは、あの恐ろしい乱入者のことに関係したことを話したがっていたらしい。エレは物静かで引っ込み思案な子だけど、IQは並はずれて高い。

「ディ・ディママ? 私たちの他の妹たちはどうなってるの?」 とエレが訊いた。

私はちょっと驚いた。「何のこと? 他の妹たちって?」

「その子たちも困っていない? あの悪い人が私たちの一人をさらいに来たでしょ? ひょっとすると、あの人、他の妹たちもさらおうとするかもしれないんじゃない?」

娘たちが、他の子供たちの存在に気づいていたことすら、私は知らなかった。私たちの会話を立ち聞きしたのかもしれないし、あるいは、私たちの心を読んだだけかもしれない。アンドリューは、子供たちは何でも知っていると、いつも言っていた。

「エレ? ママたちも他のパパやママたちに子供たちに気をつけてと伝えようとしているの。危険があるかもって何とかして伝えようと、その方法を探っているところ。でもね、電話やメールは怖くて使えないのよ。盗み聞きや盗み見されるかもしれないから」

娘たちに隠し事をする理由はなかったから、そのまま話した。子供たちは手に入れられるものなら、どんな情報でも必要としている。そう私たちは納得していた。私たちは、子供たちが何か知りたいことがあるなら、知ってる限りの真実を伝えることにしていた。ああ、私は自分がホモ・サピエンス的な枠の中で物事を考えているのだなあと、改めて自覚させられる。子供たちは、何か質問する時、私たちが言葉に出そうが出すまいが、私たちの頭の中で真実と思っていることを耳にすることになるのだろう。

「もし、ママがそうしてほしいなら、私がその人たちに伝えることができるわよ」

一瞬、私はちょっとめまいを感じた。それにちょっと嫌な感じも。エレは何を言っているのだろう?

「エレ? どういうこと? あなたが伝えることができるって?」

「ママ、私たち、その気になったら、いつでも話しあうことができるの。分かるでしょ、頭の中で。ここでママとお話しているのと同じようにして…」

エレがどうしてこんなに者静かなのか、そのわけが分かった気がした。エレは、心の中では、アンドリューと同じくらいおしゃべりなのかもしれない。多分、エレは必要な時は除いて、言葉に出すより心で話すことの方が好きなのかもしれない。人類の未来にとって、そのことはどんな意味を持つのだろう? ラジオのトークショーがなくなるということ? ラッシュ・リンボー(参考)みたいな人がいなくなるということ? それだったら大きな改善になるとは言えるけど。

「エレ? あなた、全部の妹や弟たちにお話しできるの? パパの子供たち全員に?」

エレは、5歳児が嬉しい時に見せるような笑顔になった。「分からないわ、ママ。でも、たくさんの人に話せるよ。いままで数を数えたことなかったんだもん。数を数えてほしい? 大半はまだ赤ちゃんなのは知ってるよね。まだ、言葉も使えない」

この論理には誰も反論できないだろう。私はエレにできるだけ多くの子に話しかけるように言った。自分のママやパパに危険があるかも知れないって警告するようにと。エレにはメールでアンドリューの子供たち全員の名前が載ってるスプレッドシートを送って、話しかけた子はチェックして名前を消すように言った。そうすれば、私たちが直接連絡を取らなければならない人のリストを少なくすることができるはず。

でも、エレはどうやって一人一人の子供に連絡を取るのだろう? テレパシー・メールのアドレス帳でも持ってるの? 受け手によって自分の考えてることにフィルターをかけることができるのかしら? こんなのって、私みたいな単純ホモ・サピエンスには難しすぎるわ。


[2013/01/04] 本家掲載済み作品 | トラックバック(-) | CM(0)

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