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デス・バイ・ファッキング 第15章 (2) 

アンドリューの話

政府の誰かが僕たちに興味を持っている。僕たちのことを探るために法を犯しても構わないと思っているほど興味を持っている。このアメリカの政府は、何か作戦を行う時は秘密裏に行うのが大好きだ。そういうわけで、僕はまず最初にすべきことは、この件について多少なりとも明るみに出すことだろうと考えた。

このウィリアムズという男はヒアリングを受けることになっていた。少なくとも警察は、この男はウィリアムズという名前だとみなしていた。だが、うちのEガールたちによれば、彼の本名はモリスだという。そこで僕たちは、確実に真実が露見するようにとヒアリングに出席することにした。

僕たちは勝手に、地元のニュース関係の機関にいる知り合い何人かに、今回の誘拐未遂犯に対するヒアリングはかなり興味深いものになるかもしれないと伝えていた。この田舎では、あえてそんなことをしなくても、この事件は大事件である。なので、新聞社の人間に加えて、ラジオやテレビ局の人間に出席するよう促すのにも、たいして苦労はいらなかった。

裁判所や警察、それに地元の権力者たちにも知り合いがいたので、ひょっとしたらエミーは証人になれるかもしれないという口実で、彼女を裁判所に同伴することもできた。本当の理由はそれではない。被告人から真実を絞り出すのにエミーの力が必要だったからというのが、本当の理由だ。あの哀れな男は自分の身に何が降りかかったのか分からないだろう。

僕は、検事のジェイク・ランドルフに前もってヒントを与えておいた。つまり、ウィリアムズの正体は、自分で言っている人物とは違うかもしれないと伝えておいたのである。彼の身分証明書は偽物だと確信しているとも伝えておいた。ジェイクと僕はテニス仲間である。ジェイクは、月に数回は家に立ち寄り、バカ話をしていく。彼は、僕がこの件に関して何が起きてるか、何か考えがあるに違いないと思っている。

そんな背景があったので、ウィリアムズがヒアリングに立った時、ジェイクは真っ先に次の質問をした。

「あなたの名前を正確に述べてください」

「ラルフ・ウィリアム・モリス」 そうウィリアムズは答えたが、すぐ驚いた顔をし、「いや、ジョセフ・ウィリアムズだ」と言い直した。

検事も驚いた顔をした。「警察にはジョセフ・ウィリアムズという名前だと言ったではないですか? 本当にジョセフ・ウィリアムズなのですか?」

「ああ、ええ、ジョー・ウィリアムズだよ。あ、いや、ラルフ・モリス…」 あの醜悪な男は非常に居心地悪そうな顔をした。

僕の友人のジェイクも困った顔をした。「どっちなんです? ジョー・ウィリアムズ? それともラルフ・モリス?」

醜悪男はさらに困った顔になった。「ラルフ・モリスだ」 顎を歪ませ、吐き捨てるように、その名前が出された。「ジョー・ウィリアムズは別名だ」 別名だと言い訳してもまったく説得力がなかった。まるで、誰かがあの男の喉奥に手を入れて、本名を引っぱりだしたような感じだった。いや実際、それをやった人がいるに違いない。

「そうなると警察に偽の陳述をした罪にも問われることになるでしょうな。警察の報告書ではあなたのことをジョー・ウィリアムズと呼んでいたのは確実ですから。あなたは誰の元で働いているのですか? えーっと、モリスさん?」

モリスは真っ赤な顔をして、息づかいも荒くなっていた、まるでマラソンをしている最中のように。あいつは心の中で戦っているのだろう。決して勝つことのない戦いを。

「俺は…が、合衆国の……司法…長官のもとで…働いている…」

ジェイクは顎が外れたみたいに口をあんぐり開けていた。裁判所の最後部席からも大きな反応があった。突然、全員が証言台に立つ醜い男に聞き耳をたてた。

ジェイクは心を落ち着け、問い直した。「あなたは、上司から、アドキンズ一家の私邸に侵入せよと命じられたのですか?」

モリスはすっかり気力を失っているように見えた。意思と気力を総動員して何かと戦っていたのだろうが、充分でなかったのだろう。

「ああ、あの家から女の子を連れだすように命じられた」

法廷全体から爆発的に大きな声が湧きあがった。


[2013/01/09] 本家掲載済み作品 | トラックバック(-) | CM(0)

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