ノボルはすまなそうにアンジェラを抱きしめた。
「あなたを強引に家から出させてしまって申し訳ない。あいつが今アメリカにいるとは気づかなかった」
「もし、その人がアメリカにいるのを知ってたら、私と関係するのをやめていた?」
ノボルは口を歪ませて微笑み、頭を左右に振った。「いいえ、たぶん、あなたから離れることはできなかったでしょう」
ノボルはアンジェラを抱き寄せ、ゆったりとキスをした。「私は諦めていたのです。あなたが私にしてくれたような気持ちにさせてくれる人を見つけられるのではないかという希望を諦めていたのです。どういう形になるにせよ、あなたを私のものにするだろうと。そうするだろうと思っていました」
アンジェラは、自分にとっては、ノボルの声が催眠術のような効果を持っているような気がした。そして、うっとりと目を閉じ、彼にもっと口腔内を探ってもらおうと唇を開いた。
「ノブ…」
アンジェラはノボルの名前を唇に出す感じが好きだった。それは、ノボルが自分の名前を耳に聞く感じが好きなのとほとんど同じくらい。
アンジェラが溜息まじりに名前を言うのを聞き、ノボルの目の瞳孔が広がった。深い黒眼の周りに青の細い縁取りだけになるまでに広がる。アンジェラが欲望を高めていることによる匂いが彼の精神を圧倒し始める。そしてアンジェラも彼の変化を察知していた。太もものあたりに固くなったものが当たるのを感じたからである。
「あなたは私に危険な力をもたらす人だ」 とノボルは、いっそう強く彼女を抱きしめながら囁いた。
アンジェラは、ノボルのTシャツをたくし上げ、脱がせた。そして彼の胸や腹部の滑らかな肌に舌を這わせた。舐めたり、甘く噛んだりを交互に繰り返しながら、徐々に腰の方へと降りて行く。ズボンの中、解放されたいと強張る部分にたどり着くと、彼女は頬を使ってその部分を優しく擦った。
チャックを降ろし、ズボンをゆっくりと下げて行く。するとノボルの勃起が跳ねるようして前に飛び出て来た。アンジェラに触れてもらいたがっているのだろう。
アンジェラはわざとそれを無視し、仰向けに横たわった。そして脚を広げ、指で股間をいじり始めた。自慰をする彼女を見て、欲望で目をギラギラさせるノボルを尻目に、彼女はオーガズムの瀬戸際まで自らを高め、そして切なそうに訴えた。
「獣のように私を犯して。遠慮をかなぐり捨ててほしいの。好きなだけ荒々しく犯して欲しいの」
不協和音のように何か折れたり割れたりする音がするなか、すぐさまノボルはアンジェラの上にのしかかっていた。牙が生えた姿で大きな唸り声を上げ、彼女をベッドに押しつける。
しかし、野獣状態になったノボルを見つめるアンジェラの様子には、恐怖心はまったく見えなかった。犯され奪われるのを待ち望んで、逞しく変身した彼の身体を好色そうに見つめている。