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ジャッキー 第13章 (5) 

車を飛ばしながら、僕は、目撃したことを振り返り考えた。自分の命よりも大切と愛した女性。その女性が他の男に身体を捧げていた。最初、どうしてアンジーがこんなことをしてるのか分からなかった。僕は彼女が求めることをどんなことでもしたし、彼女がどんなことを求めても、それに疑義を挟んだりしなかったのに。だが、あの男がペニスを挿入した瞬間、アンジーがオーガズムに達したところを思い出した。その時になって初めて、僕はどうして彼女がこういうことをしたのか悟った。

そして次に、僕には彼女を満足させられる代物を持っていないことを悟った。僕のは小さすぎて、彼女が切望しているオーガズムを与えることができなかったのだ。それにアンジーが僕のペニスをまともな呼び方をしたことがないことも思い出した。いつも「可愛いの」とかと呼んでいたし、女装した時は「クリトリス」と呼んでいた。

それを悟った時、僕は気力が失われていくのを感じた。自分がまともな男でないことに対する絶望感に満たされた。それに、これからはアンジーを以前と同じような目で見ることができなくなったことも知った。あの男と大きさの点で決して敵わないと知りつつ、彼女と愛することなど、今後、決してできないだろう。

この情事は、かなり前から続いていたに違いない。僕たちが婚約するずっと前から。あの男のトラックが僕たちが住む地域を走り去るのを、去年、何度も見かけたことがある。あのトラックを目撃した日は、必ず、アンジーに面会の約束ができ、二人とが異なった時間に職場から帰った日だった。アンジーの面会相手はあの男だったのだ。僕がオフィスで働いている間、アンジーは僕たちのベッドで彼に性奴隷のように奉仕していたのだった。

もう二度とアンジーの顔を見ることができないと思った。彼女の顔を見るたび、あの男が彼女を犯すところを思い浮かべることになるだろう。

これから何をすべきか、決心するまで何分もかからなかった。アンジーが帰宅する前に、衣類をまとめて家を出るべきだ。自分自身の生活のためばかりでなく、アンジーの幸せのためにも、そうすべきなのだ。アンジーは僕に隠れて浮気をしているのは事実だが、それでも僕は彼女を深く愛している。

レンタカー会社に戻る代わりに、僕はまっすぐ家に帰った。アンジーが帰宅するまで、荷物をまとめる時間は2時間もないと知っていた。できるだけ迅速に作業した。紳士物の衣類しか集めなかったが、紳士用の下着を持っていなかったので、パンティは何着か集めた。普通の紳士用下着を買いに店に行くまでは、そのパンティで過ごそうと。

夜の9時、できる限りのすべてを二つのスーツケースにまとめ終えた。もうすぐアンジーが戻ってくるので、すぐに出発しなければならなかった。まだ持っていきたい物があったが、彼女が戻る前に出なければならない。

そして、かろうじて間にあったのだった。僕たちの住居地域を出てすぐ、アンジーの車が走ってくるのを見かけたからである。あの黒いミニバンに乗っていたのが僕だとは、彼女は決して気づかなかっただろう。

2時間後、僕はレンタカー会社にミニバンを戻し、自分の車へスーツケースを1つずつ運び入れ、そして車に乗り込んだ。そして酒屋に立ち寄りウイスキーを1本買い、安宿を見つけ、そこで悲しみを酒で紛らわしながら、一夜を過ごしたのだった。

アンジーと僕の銀行口座は別々だったので、自分が使えるお金はあった。僕が稼いだお金は僕の口座へ、彼女のお金は彼女の口座に振り込まれている。僕たちはもっぱら彼女の口座を使っていたのだが、アンジーは給与を別々にしておきたいといつも言っていたのだった。


[2013/02/01] 本家掲載済み作品 | トラックバック(-) | CM(0)

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