ノボルは、名残惜しそうに勃起からアンジェラを引き離し、真剣な声音で話しかけた。
「認めてほしいことがあるのですが、明日、ある者をあなたに送り、付き添うようにさせてもらえませんか? あなたに独りで職場に行かれると、不安になりそうなのです」
「ノブ、そんなのダメよ!」 アンジェラは一時的に淫らな心も忘れ、退いた。
「一人だけでいいんです」
「私は精神科医なのよ! 誰か他の人が診察室にいたら、患者さんたちはプライバシーが守られていないと感じちゃうわよ!」
「私が送る男は、別にあなたと一緒に診察室にいなくてもいいのです。診察室の外に待機しているだけで充分なのです」 ノボルは食い下がった。
アンジェラはバンザイする格好をした。「じゃあ、私の患者さんたちに、どう説明すればいいのよ?」
ノボルはアンジェラの手を取り、手の甲にキスをし、痛々しい微笑みをしてみせた。「オネガイです[Onnegai]。あなたを再び失うなど、思っただけで耐えきれなくなる。お願いです。あなたの隣で安らかに眠る喜びを私から奪わないでください」
このような言い方をされては、ノボルを拒むことは難しかった。
「しょうがないわね」 とアンジェラは降参した。「でも、その人は必ず待合室にいること。いいわね?」 アンジェラの診察所は、ドアが2つあり、診察室を出る患者と入る患者が顔を合わすことがないように設計されていた。「…それに、その人がどんな人であれ、もし、私の患者が要求した場合には、診察の間、待合室にいると声に出して言い、知らせるように」
ノボルは満面の笑みになり、首を縦に振った。「決まりですね」
ノボルはアンジェラの首筋に顔を寄せ、甘噛みを始めた。それを受けながら、アンジェラは、精いっぱい努力し、苛立たしく感じているふうに演技した。
「あなたは、どうやったら女の子の人生をひっくり返せるか知ってるみたい…」
この48時間の間に、彼女は恋人を見つけ、住んでいたマンションを失い、その恋人のところに引っ越し、そして、ベビーシッターまでつけられたのだった。
「で? その人は誰なの?」
アンジェラが怒ってる様子にくすくす笑いながら、ノボルは彼女をベッドに押し倒し、耳たぶを舐めはじめた。抗議するようなうめき声が彼女の口から小さく漏れる。
「名前はゲンゾウです。自分の命を賭けてもよいほど、私はその男を信頼しています」
「そう。ならいいわ。でも、私の護衛を始める前に、一度、そのゲンゾウという人に会っておきたいわ」
「お望みの通りに…」 ノボルはかすれ声でそう言いながら、分身を彼女の中に滑りこませた。
アンジェラの頑固な怒りはすぐに溶けだし、消えた。ノボルは、アンジェラが彼の腰の後ろで両足首を交差させ、より深く引きこもうとするのを感じ、勝ち誇ったような笑みを浮かべた。
「ひどい人…」 とアンジェラはノボルを睨みつけ、同時に腰を突き上げた。