ディアドラの話し翌朝、目が覚めた時、ドニーと抱き合っていた。これは本当に際立って奇妙なこと。ふたりとも裸で、しかも、お互いのあそこから染み出た体液の水たまりの中で眠っていた。私が出した方が多いかも。
昨夜よりも激しくクライマックスに達したことがあったかどうか。私には分からない。たった30分間で、3回もイッテいた。それはドニーも同じ。ドニーが達したのを私は感じることができた。私とドニーは、3回ともユニゾン状態でオーガズムに達していた。
ドニーと私は遠隔共感能力があるに違いない。その能力を引き出すにはアンドリューとのセックスが必要なだけ。
私たちが目を覚ました時には、すでにアンドリューは起きていた。あの邪悪男! デジタルカメラを出して、私たちが裸で抱き合っている写真を撮っていた。巨大な引き伸ばし写真がドレッサーに張ってあって、私たちを待っていた。コンピュータというのはなんと素晴らしいものだこと! この写真のコピーは、あの決して破られることがないファイアーウォールの向こうに置いておいた方がいいわよ。さもないと面倒な目に合わせるから!
それに、私たちが最初に決めた「女対女」のセックスはあり得ないという方針は、いまだ完全に生きているということも理解しておいた方がいいわよ。私たちは、互いに愛し合っている姉妹なのは事実。でも、それは姉妹として愛し合っているということ。たまたま同じ男性を共有しているということ。これからもずっとそう。でも、それにしても、彼が撮った写真、とてもセクシーだわ。
昨日の夜、エマは、今朝ちょっと驚くことがあるとほのめかしていた。私はドニーの身体を揺すって、起こした。ふたりともシャワーを浴び、それからびしょびしょになったシーツを洗濯物入れのかごに投げ込んだ。
朝食を取りにキッチンに出た時には、ふたりともさっぱりとして、きれいになっていた。前日の夜に夫を強姦したセックス狂の面影はどこにもない顔で。でも、本当に率直に言うと、昨夜のことを思い出せば、思い出すほど、もう1ラウンドしたくなってしまう。セックスはセックスを呼ぶ。アンドリューが好きな言葉だ。
うちのEガールズたちは朝食の席についていた。みなチェリオス(
参考)を食べていたが、まるでカナリアを飲みこんだ猫(
参考)のような顔をしている。あまりにも、おつにすました顔をしているので、何かあるわねと分かった。
アンドリューは、イチゴをスライスしながら、私たちの朝食の用意をしていた。すでにマッシュルームとワケギは炒めてあって、フライパンに落とす卵も用意できていた。
私たちが入っていくとアンドリューは顔を上げた。彼の顔からも、何かがありそうだと分かる。こういう時、彼は無念そうな顔をしてることが多い。
「オーケー、アンドリュー。何をしたの?」
「僕は何もしてないよ。子供たちに訊いて。パパは何もしてないよね、みんな?」
しゃべる役はエマだ。エマは、言葉を使う世界では娘たちの代表になっているのではないかと思い始めている。もちろん全員しゃべることができるけど、自分自身の声の音が好きなのはエマだけなのだ。
「パパは何もしてないよ、ママ。テレビがパパのために全部してくれたから」
「一体どういうことを言いたいの?」 とドニーが訊いた。ドニーはエマに厳しく見せようとしてるけど、うまくいった試しはない。自分の心を読める人に厳しく当たるというのは難しい。エマは、私たちが厳しいフリをしていることをいつも見破っている。
エマは笑った。「今朝はみんなでCNNを見ない? 面白いかもよ」
アンドリューが苦しそうな顔をしているのが見えた。頭を横に振って、目をつむった。
私たちは、食事も含めて家族の時間の時には、テレビ視聴を許さないことにしている。この時は、私としては例外にしてもよいかなと思った。アンドリューは料理しながらESPNを見られるようにキッチンに小さなテレビを置いている。私たちはそのテレビのスイッチを入れた。
エマがチャンネルをCNNに合わせた。ちょうど時間が変わったばかりだから、番組ではニュースの最初の紹介がなされている時間だった。アナウンサーが報道番組最初のブリーフィングをしているところに間にあった。
「この時間のトップニュースは、創始者アンドリュー・アドキンズについてです。中には彼のことを地上で最もセクシーな男と呼んでいる人もいます。最新のCNN調査によりますと、子供を産むとして、父親にしたい男性としてアンドリュー・アドキンズの名前を出す女性が最も多いことが分かりました。彼はいったい何者なのか、そして彼のどこがそんなにセクシーなのか? この男性の背後にある話しについては、後ほど」
ドニーも私もテーブルに尻もちをついてしまった。ヒステリックに笑い転げながら。Eガールたちもその笑いに加わった。イーサンとエリックは自分がジョークの主人公になってるかのようにニヤニヤしていた。ただアンドリューだけが今にも病気になりそうな顔をしていた。