アンジーは、まるでこの質問が出るのを待っていたかのように、パッと顔を明るくさせた。
「選択肢は3つあるわ。一つは離婚すること。私はこの選択肢には反対。あなたも反対してくれるといいと思っている。2つ目の選択肢は、このままの生活を続けること。あなたは、夫としての仕事は本物の男性に明け渡して、寝取られ夫として生きていく」
「本物の男性というのはダンのことを言ってるんだね?」
「その道を進むとすると、ダンがその一人になるわね。私は他の男たちとも付き合うかもしれないわ。でも、その場合も私たちのことを秘密にはしないつもり。あなたが気に入ろうが気に入るまいが、私は、うちの寝室で男たちをもてなすつもりよ。それに、男たちに、あなたが私の夫だと教えるし、どうして私が他の男が必要なのかも教えるつもり。男たちにヤッテもらって、あそこをスペルマでいっぱいにしてもらった後は、もちろんあなたを寝室に呼び出して、男たちが見ている前で舐め清めてもらうつもり」
「そんな、何て意地悪なことを…」
「あら、それで終わりじゃないわよ。あなたは寝取られ夫なわけだから、私とのセックスもなしになるの。と同時に、あなたは前のように男物の服しか着てはいけないようになる。さらに、私がいる時でなければ、どんな性行為も控えるように要求するつもりよ。となると、あなたにできることは、私の前でオナニーすることだけになるわね。それに、言っておくけど、私、そのオナニーもあなたが全然楽しめないようにさせるつもりよ」
二つ目の選択肢はまったく好きになれなかった。それなら、むしろ一つ目の選択肢の方がずっと良いように思えた。
「それで、第3の選択肢は?」
アンジーが急に元気を増すのが見えた。僕の手を握って話し始めた。
「3つ目の選択肢が私たち二人にとってベストだと思っているの。三つ目の選択肢はというと、私たちレズビアンの恋人同士になるのよ。まず、手始めに、あなたの女性化を次のレベルに上げようと思うの」
「次のレベルってどういう意味?」 僕は話しを聞く前から、この選択肢がいいと思い始めていた。少なくとも、これなら、ふたりは一緒でいられる。
「もうすでに始めていることだけど、それをスピードアップすること」
アンジーはそう言って、身を乗り出し、僕の胸を握った。余分な脂肪がついたと思っている、僕の胸肉を。
「これをもっと大きくするの。そうなったら、もう男性服は着れないわ。あなたには女性服だけ」
僕の胸に起きてることにアンジーが関係しているのを知り、ショックを受けた。
「ちょ、ちょっと待って。すでに始めたことをスピードアップするって、どういうこと?」
アンジーはにっこり笑って、はにかむような顔で言った。
「この4カ月ほど、あなたに女性ホルモンを与え続けてきたの。とうとう、その効果が見えてきたところ。ダンも、あなたに可愛いおっぱいができてるのに気づいたわよ」
再び唖然とした。彼女がそんなことをしてたなんて、全然、気づかなかった。
「ど、どうやって? それに、なぜそんなことを?」
「どうやって、というのはとても簡単。あなたのコーヒーのクリーマーにホルモンを入れてきたの。どうして、私があれを特別クリーマーって呼んできたか分かる? なぜの方の質問には、あなたを愛しているからというのが答え。私と別れてほしくないの。いつまでもあなたと一緒にいて、愛し合っていたいから。シーメールの彼女としてね。それに、あなたには男たちとも愛し合ってほしいの。外に出かけて、男と付き合うたび、あなたにはそんな人いないのにと思って、いつも罪悪感を感じていたわ。だから…」
アンジーは僕の胸を愛撫しながら、興奮して語り続けた。
「どうして僕に男と付き合ってほしいなんて? 僕がゲイじゃないって、君も知ってるのに!」
アンジーは、やれやれと言わんばかりに両手を宙にあげた。
「それを言うの、お願いだからやめてくれない? もちろん、あなたがゲイじゃないのは知ってるわ。あなたがゲイだったら、そもそも私を愛したり、私のあそこを舐めたりできないでしょう?」
「じゃあ、どうして僕に男と愛し合ってほしいと言うのか分からないよ。これって、僕のペニスが小さすぎることに対する何かの懲罰なの?」
そう問う自分の声に、再び苛立ちの色が混じっていることに気がついた。
アンジーも再び怒りだしているようだった。
「ジャック! ちゃんと現実から目を逸らさないで! あなたは、どんな女にとっても、魅力的な存在には見えないの。まあ、あなたのような男に落ち着いちゃう女はいるかもしれないけどね。あなたのようなちっちゃな代物しかもっていない男と一緒になってしまうような女。でも、そんな女たちは決して幸せになれないわ。どんどんくすんで行くだけよ」
「世の中、大きなペニスを持った男を求める女ばかりじゃないよ」
アンジーは高笑いした。
「アハハ! ひょっとすると、あなたでも、本物の男を知らない女を見つけることはできるかもね。でも、あなたは自分が男として不十分なことをいつも思い知らされることになるのよ。あなたは、あの細くてちっちゃなモノをその女に突っ込むたびに、自分はこの女に本物の味を味わわせていないって思い知らされることになるのよ」
もちろんアンジーの言うとおりだった。でも、どうして、こんな言い方をするのだろう。こんな傷口に塩を擦りこむような言い方をしなくてもいいのに。
「どうして、そんなに意地悪なんだ。もし僕のことがいらないなら、さっさと離婚して、好きにすればいいじゃないか」