黒ストッキングを履いた後は、黒のハイヒールに足を入れた。ヒール高10センチ。そして小さな白レースのシースルー・パンティを掴んだ。どんな履き心地かなと思いながら、脚を入れた。
股間のところに小さな布きれがついてるだけ。しかも完全にスケスケ。履いてみると、あそこの割れ目に食い込んで、あそこの唇が左右にはみ出してしまう。お尻の方はすっかりお尻の頬に挟まって、パンティを履いてるのか履いてないのか見えなくなってる。
全身鏡の前に立って自分を見てみた。ふと、靴屋さんのスージーのことを思い出した。スージーがあたしの姿をじっと見ていたっけ。
ぶるっと身体が震えた。そしてクリスティの方に目をやった。まあ! あの時とほとんど同じみたい。違っているのは、半裸になっている鏡の中のあたしを見ているのがあたしの娘だということだけ。
それから用意しておいたミニスカートを履いて、ゆったりと流れるようなブラウスを羽織った。下はノーブラで。
「いやだ、こんな格好じゃ外に出られないわ」 鏡を見ながら、溜息をついた。
クリスティは目をまん丸にしながら、鏡の中のあたしの姿を見ていた。ハイヒールのおかげで、そうでなくても長いのに、脚がずっと長くなったように見える。ガーター不要のストッキングが、その脚をきゅっと包んで、とてもセクシー。スカートはすごく短いので、股間のところをかろうじて覆っているくらい。しかも、前のところが少し盛り上がっていて、恥丘の形が見えてしまってる。後ろを向いてお尻を見たけど、そっちもやっと隠れている程度。これだと、ちょっと前屈みになっただけで、お尻が見えてしまうわ。
トップの方もゆったりとしすぎていて、前のところが露出している。乳房の大部分が露わになっている感じ。ブラウスの縁でかろうじて乳首が隠れているけど、でもその乳首も今は興奮していて固くなってる。
肩にかけたストラップでブラウスを支えるデザイン。そのストラップは細いので、肩の線が見えてるし、ピン止めした髪の毛の下、長い首のラインが見えている。ちょっと成熟した女性の色香が漂う感じで、このラインはお気に入り。
あたし自身のセクシーな姿に加えて、あんなパンティを履いているせいで、何だか自分がとても興奮しているオンナのように見えていた。
「ママ! すごい! とてもセクシーよ!」
「そうよねえ……。それに、ちょっとエッチっぽい。…そう思わない? ダメよね。こんな格好じゃ外に行けないわ」 と呟いた。
でも、ちょっと変なのは、こんなふうに身体を見せることにワクワクしていたこと…。不思議だったけど、興奮していた。それでも、こんな格好で人まえに出て身体を見せびらかすなんて……。
「ママ、大丈夫よ。もし私がママの身体をしていたら、絶対、いつも見せびらかしているわ。それに、聞いて、ママ? 計画を完遂するまでは、ママはそういうふうにしていなければいけないのよ。覚えてる?」
クリスティったら。本当にあたしの気持ちを和らげるのが得意だし、しなければならないことを思い出させるのも得意なのね。
あたしはドレッサーのところに行って、赤い口紅を取った。その時、ちょっと前屈みになったんだけど、鏡の中を見たら、娘があたしの脚の間を盗み見しているのが見えた。あたしの真後ろにいたんだけど、急に目をまん丸にして、ごくりと生唾を飲んでいた。あっ、あたしのパンティを見たからなのね? 本当にこんな格好でひと前に出たら、どうなるのかしら?
クリスティはあたしと少しおしゃべりをした後、友だちに会って計画の詳細を話しあうために出て行った。あたしは独り、家の中をそわそわしながら歩き回っていた。いまからしなければならないこと、それを考えまいとしながら…。
鏡の前に来るたびに、立ち止って自分の姿を見た。自分の姿ながら、ちょっと惚れ惚れしてしまう。この姿…。見ているうちに、興奮してくる…。でも、本当にあの役を演じなければならないの? …淫乱女の役。それを思うたびに、ゾッとした。
でも、とうとう、このイライラそわそわの状態に我慢できなくなった。やっぱりフランクに会いに行こう。そう決心した。
フランクの指示のうち、最初の部分は、近くのバス停に車で行き、そこからバスに乗って、街のショッピング・プラザに行くことだった。そこでJ通りと7番街の交差点のところに立って、フランクが車で来るのを待つという命令だった。こんな服を着ることになると知るまでは、簡単な命令に聞こえたけど、でも今は…。
ともかく車に飛び乗り、走らせた。目的地にはすぐ着いた。10分足らずで着いて、混んでる駐車スペースをぐるぐる回った後、空きスペースを見つけ、駐車した。辺りを見回し、囲い型のバス停を見つけた。比較的混みあっている様子で、さらに男の人たちが数人、そこに向かって歩いているところだった。