心臓がドキドキしてきたし、お腹のあたりに何か固いものができた感じ。ハラハラしながら車から降りた。脚を広げ過ぎないように、ものすごく注意を払って。
車のドアを閉めて、ロックした。そして、囲い型のバス停に向かって歩き始めた。もうすでに何人かバスを待ってる人がいる。
バス停に近づくにつれて、何人かがあたしの方に顔を向け始めた。お年寄りの男性も若い男性も関係なく、みんな、あたしをじろじろ見ている感じ。目にはイヤラシイ欲望が浮かんでいる。
女性も何人かいて、目を皿のように大きくして見ていた。面白そうに微笑んでる人もいれば、あたしのエロティックで扇情的な姿に気を害しているのか、軽蔑した目で見ている人もいた。
心臓をバクバクさせながらバス停についた。あたしは囲い型のバス停の一番奥のところに身をひそめて待つことにした。
なかなかバスが来ない。待っているうちにどんどん人が増えてきて、あたしの周りに集まってきていた。すぐにあたしを取り囲むように人垣ができて、あたしの周りにいる人の他にはあたしの姿が見えないほどになっていた。
40歳くらいであご髭を生やした男がずっとあたしを見ていて、ニヤニヤしている。まるで、俺はお前に興味があるんだよとあたしに見せつけてるようなイヤらしい笑い方。
この男の人はあたしの真ん前に立っていた。確かに、そんなにルックスが悪いわけではなかったけど、あたしは目を合わさないように、顔を背けた。視線を合わせたら、まるであたしが彼に興味があるように思われてしまうから。あたしはただバスが来るのを待っているだけ。バスに乗って、フランクの指示を早く完了したいだけなの。
でも、ちょっと他のこともあたしの中に生じていた。とても残念なことなんだけど…。人の視線を浴びれば浴びるほど、チラチラ見られたり、ニヤニヤされたりすればするほど、どんどん興奮してきていたということ!
ああ、確かに、そうなってしまうかもとは思っていたけど、でも、あたしは、本当にそんなふうになりたくないの! たくさん人がいる公の場所で興奮してしまうなんて、正しいことじゃないもの。少なくともあたしには正しいことには思えない。
なのに、脚を見せれば見せるほど、胸の谷間を人が覗きこめば覗きこむほど、どんどん興奮してくる……。
あたしの周りを取り囲んでる人の壁。その壁の真ん中、あたしはだんだん息が荒くなっていた。あたしの横にも後ろにも人が集まってきていた。もう、身動きできないくらいに集まって来ていた。
そんな中、何かわざとあたしに身体を押しつけてくる人を感じた。顔を上げると、その人は20代になったばかりくらいの若い女の人だった。とても可愛い人。今は、すでにあたしの前に来ていて、こっちを向いて立っている。
バスを待つ人が増えてくるにつれて、あたしたちは互いに身体を押しつける形になっていた。
突然、誰かに身体を押されて、胸を彼女の胸に押しつけてしまった。あたしは申し訳なくて、笑ってごまかした。
「ごめんなさい。今日は本当に混んでるわね」 とこっちの事情も分かってくれるよう願いながら彼女に話しかけた。
その女の人は何も言わず、ただ、あたしをチラリと見て、ニッコリ笑っただけ。その後は、どこか虚ろな目をして、あさっての方を向いていた。彼女、何かドラッグでもしてるのかしら? 下唇を噛み始めて、驚くほど大きな胸が、まるで興奮しているかのように波打っていた。彼女に何が起きてるのかあたしには分からなかったけど、身動きできず、身体を離すことができない。
たくさんの人の中、ふたり身体をピッタリくっつけあったままバスを待っていた。午後の日差しのせいで、風通しが悪いバス停の中、どんどん蒸し暑くなっていた。あたしの身体にもうっすら汗が浮かんでいた。
ふと、彼女の乳首があたしの胸を突いているのに気づいた。しかも、彼女が乳首にピアスをしているにも気づいた。大きな楕円形のリングがあたしの胸に食い込んでいる。それに彼女、乳首を固くさせていて、あたしの敏感な肉肌を突いてきている!
これってあたしのせい? あたしがほとんど隠してない乳房を彼女の胸に押しつけているせいで、そうなってるの? 彼女、女性が好きなタイプには見えないけど…。