「もし私にちょっとだけでも信頼を置いていただけるならの話しですが、まさにその点に良いお知らせがあるのです。実は、私は、ワクワクするような新しい身体増強治療の臨床研究に参加しています。パーマ・プラストと呼ばれる新しい方法で、この方法が軌道に乗れば、伝統的な豊胸方法など時代遅れになることでしょう…
「…私はあなたの身体を、あなたが望むどんなプロポーションにも改造できるのです。切開手術は行いません。それゆえ、傷跡も残らなければ、長期にわたる術後の回復もないのです。伝統的な切開手術を行った場合、比ゆ的にも文字通りにも、どんな苦痛があるか。それはアンジーが答えてくれるでしょう」
「素晴らしいことのように聞こえるけど…」と、私は防御的に控え目に返事した。「手術なしで豊胸? いったいどうすればそんなことができるのですか?」
「簡単なことです。増強したいと思う部分に直接パーマ・プラストを注入するのです。これは周囲の組織にくっついて、自分自身の細胞間質を作りだすのです。身体の元々の細胞を物真似する形で。伝統的なシリコンとは異なって、パーマ・プラストは化学的にも生物学的にも不活性です。だから、身体の防御機構を発動させたりしないし、自己免疫に対して長期的にダメージを与えることもありません…
「パーマ・プラストには2つのタイプがあります。ひとつは硬質の組織を刺激するもの。骨が典型例ですね。もうひとつは柔らかい組織を刺激します。最初のタイプを使って、あなたの頬骨と腰帯や下肢帯を増強します。それによりアンジーのようなヒップになれるでしょう。ふたつ目のタイプのを使って、胸を増幅したり、お尻を丸く膨らませたり…それに唇にも、もしあなたがお望みならですが」
「もちろん! 絶対に!」 とアンジーが甲高い声を上げた。
「そのすべてを外来診療で行えるのです。まさにここの診察室で。増幅は徐々に行います。何度も層を重ねるような感じで……」
層! 層! 怪物には層がある!(
参考)
「…さっき言ったように、私はあなたの望むように身体のプロポーションを変えることができます。もちろん、お望みなら、伝統的なインプラント方式の手術をしても良いですよ。その場合、どのようなことがあなたを待ち構えているか、アンジーが教えてくれるでしょう。最初の2週間は大半ベッドの中に留まっていなければならない。1ヵ月は、行動範囲が厳しく限定されるでしょうし、続く1ヵ月も実質的に制限を受ける。もしそれがお望みなら、急いでインプラントの注文をしなければいけないので、すぐに教えてほしいところです」
私は話しを合わせることにした。
「確かに、2ヶ月間、お尻をがんがんやられる喜びはナシで済ませたいと思います。第1の門の方をくぐりたいかな。その場合のスケジュールはどうなりますか?」
「まずは血液検査。それにお肌でパーマ・プラストとの相性をテストすることになります。そうすることで、あなたがパーマ・プラストにアレルギー反応を示さないことを確認するのです。その確認作業は、ここですぐに行います。結果は今夜出るでしょう。パーマ・プラストにアレルギー反応を示す人は非常に少ないのですが、もしあなたがそのような人だった場合、明日までに肌に反応が出るでしょう。手術を行うとなった場合、スケジュールは月曜の午前までに確定できます。検査自体はすぐに済みますよ」
レーガン医師の看護婦の一人が、私の右腕の関節部から血液を採取し、左の腕の皮膚に皮下注射で少量のパーマ・プラストを注入した。
私はアンジーを会社に戻した。ロブとジムに私がこれから1週間、休みを取ることを伝えさせるためである。私は今夜はリラックスしたいと、会社に戻らないことにした。