「身体の横も塗り忘れないでね」
バルは小さな声で言った。まるで、胸を触るようにと俺を導こうとしているようだ。
俺は両手を彼女の背筋に当てて、ゆっくりと尻まで滑らせ、それから左右の体側に沿ってヌルヌルの手を這いあがらせた。その俺の指先がはみ出た乳房の肉丘に触れる。元々キツイ水泳パンツの中、分身が痛いほどに勃起してるのを感じる。
何度か手を上下に動かし、バルの胴体の側面にオイルを塗りこんだ後、俺は彼女の横に腹這いになって寝そべった。
そうやってしばらく横たわりながら、俺たちは軽い雑談をした。いろんなことを話した。バルの通ってる学校のこととか、そこでの友だちのこととか。バルの出身のフィリピンのこととか、そこでの以前の生活がどんなふうだったかとか。
俺たちは互いに横に顔を向けて、相手の顔を見ながら話していたのだが、ふと、バルがつま先で俺の脚を触ってるのに気がついた。俺たちは互いに相手の瞳を見つめあった。互いの顔が30センチも離れていない。ただ、見つめあいながら陽にあたっていた。うつ伏せになっているのだが、ますます勃起していて、その姿勢になってるのがだんだん難しくなっていた。
「それで? こっちで君を預かってくれてるステイ先の親はどんな感じ?」 と俺は彼女のアーモンド形の瞳を見つめながら訊いた。
「まあまあね…」 とバルはちょっと間をおいた。「あまり私の好みじゃないけど。信心深い家で暮らすのって」
「どういうこと?」
「分からないけど、何と言うか、あの人たち、ものすごく信心深いけど、偽善者なのがありありとしてるの。そういう人と暮らすのって気持ち悪いのよ」 とバルは不快そうな声で言った。
「偽善者って、どういうこと?」 トリスタの家も信心深い家だが、父親は別として、そんなに変じゃなかったので、不思議だった。
バルは、俺の方を向きながらしばらく黙っていた。陽は高く、暑くなっていた。ずっとうつ伏せになっていたので、そろそろ背中が熱くなっていた。バルは背中に手を回し、ビキニのトップを結び直した。
「仰向けになりましょう」 と彼女は起き上がった。
俺はバルの胸を見て、息がつまりそうになった。胸には小さな青い三角布がふたつついているだけで、乳首と乳輪だけが隠れてるだけだったからだ。細いストラップが首にかかり、その三角形を留めている。このビキニの前の方を見たのは初めてだから、驚きはなおさらだった。
俺が唖然としてじっと見つめていたのにバルも気づいたのだろう。わざと前のめりになって、胸の谷間を俺に見せつける格好をした。
「気に入った?」 と四つん這いになって俺の方に近寄り、最後には、実際に胸が俺の顔に触れるまで近寄った。
「さあ、仰向けになって」 とバルはココナツ・オイルの瓶を取り、俺の脚の方へと這った。