というわけで、今日、ジェニーとショッピングに行った。ずっと前から行きたかったけど、仕事があってなかなか行けなかったから。ちゃんと自分にフィットした服を買うまでは、ジェニーのユニセックス風の服を借りて着ていた。ちょっと僕には大き目だけど、少なくとも、道を歩いてて、ずり落ちてしまうことはない。
もう僕には紳士服のサイズでは合わなくなってる。このことに心構えをしておくべきだったかなと思う。でも、紳士服売り場に行って棚に並んでる服を見るまで、これを考えたこともなかった。そこに並んでた服は、僕が着たら全部だぶだぶになりそうなのばかりだった。結局、紳士服はあきらめて、すぐに子供服売り場に行き着いた。今度は、確かにサイズが合ってるのもあったけど、でも僕の体型に沿うようなものじゃなかった。それに、スタイルも限られていて、選べるようなものがなかったし。
というわけで、10代向けの服の売り場に来ていた。そこならいいものがありそうだと思った。そこの服は10代の女の子向けの服ばかりで、その点についてはジェニーに文句を言ったんだけど、でも、内心、そこの服がなんて可愛いんだろうと感じていた。それを見ながら独り言を言い続けた。ジーンズとTシャツだけ…。ジーンズとTシャツだけ…。派手すぎないやつ…。女の子っぽくなさそうなやつ…。もし僕一人で買い物に来ていたら、なかなか決められなくて何時間もかかってしまっただろうと思う。
でも、このショッピングをしながら、一種、怖い感じを味わっていた。なんと言うか、男なのに、衣服について10代の女の子のように大騒ぎしてる自分って、どんな男なんだろう? って。 そのことをジェニーに言うのは怖くてできなかった。ジェニーは、何も変なことじゃないといったふうに振舞っていた。だから僕がちょっと過剰にはしゃいでも、何ということもないのじゃ? たかが服だ。何ということもないのじゃ? 着ている服で人間としての僕の何か分かるわけじゃないし。そうだろ?
とにかく、今日は一番キュートな服を着てみた。とてもベーシックな服。ただの白いTシャツとジーンズ。でも、これを着ると……なんとなく自分に自信がつく感じになるんだ。