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損害賠償 (1) 

「損害賠償」 Compensation for Damages by The Warthog

「嬉しい! やっと楽しい金曜日よ!」 メアリが言った。

「ホント、その通り!」 とケビン。

2人はディナーを食べに行く途中だった。その後は映画。2人とも、この1週間、へとへとになるほど働きづめで、今夜の楽しい外食を待ち望んでいたのである。

7月だった。蒸し暑い日で、ケビンは汗をかいていた。彼のピックアップ車のエアコンを不器用に調節する。その間、メアリは、2人がお気に入りのレストランを心の中でリストアップしていた。

ケビンは、エアコンを調節しながら、どうしてもメアリのセクシーな脚に目を奪われがちだった。黒いストッキングに包まれた脚。それに足先の新しい黒ハイヒールにも気を取られる。ヒールのデザインが真新しい。2人で家を出るとき、彼は、157センチのメアリが、普段より10センチ近く背が伸びたように見えることに気づいていた。すごくセクシーだ、と思うケビン。

彼女の服装の他のところも悪くない。太ももの真ん中辺りまでの丈のラップ・アラウンド・スカート。彼女のストッキングの付け根が、それによってかろうじて隠れている。赤いシルク・ブラウスも彼女の体つきにぴったり似合っている。ケビンは、きらきら輝いて見えるシルク生地の下から、彼女の乳房が愛らしく押し上げているのを見るのが好きだ。メアリは、肩先ほどの長さのヘアのセットと、お化粧に特に時間をかけたに違いない。彼女の少女っぽい愛らしい顔に、官能的な印象も加わっている。ケビンは自分の妻のことをとても誇りに感じていた。彼は、この美しい妻を外に連れ出し、他の男たちに見せびらかすのが好きだった。

「ケビン! 危ない!!」 メアリが叫んだ。

顔を上げたケビンは、目の前に車が止まっているのを見る。左折しようとウインカーを上げていた。彼は思いっきりブレーキを踏んだが、遅かった。

バーン!!!!

「ちくしょう」 思わずケビンは毒づいた。

車のフッドの先、前に止まる古いキャディラックの後ろの部分に目をやった。メアリの素敵な体を眺めすぎていて、道路に注意を払っていなかったのだと、今頃になって悟る。この追突は、強いものではあったが、さほど深刻なものではなさそうだった。幸い、相手の車に乗っている者たちはシートベルトをしていた。ケビンはメアリに目をやった。

「メアリ、大丈夫か?」

彼女は、すこし青白い顔をしつつも、頷いた。彼女がケビンに返事しようとしたとき、助手席の窓を叩く音が耳に入る。ケビンとメアリ、同時に窓の外に目を向けた。そこには男が立っていて、ケビンに外に出てくるよう手振りで伝えていた。かなり大きな筋肉質の黒人で、怒っているらしい。素手でケビンの車をつかみ、今にもひっくり返しそうだった。

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