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生まれ変わり:シャーリーンの話し (6) 

シャーリーンは古いバッグを取って、必要となりそうなものを全部突っ込み、外のガレージへと向かった。このジャガーEタイプ(参考)に乗るのは何年ぶりだろう。彼女は車屋に半年に一度は整備しに来てもらっていたので、エンジンは一発でかかった。

バックで車をガレージから出しながら、シャーリーンは両肩から重荷が落ちた感じがしていた。新しい女性となって、これまでの自分で閉じこもっていた殻から抜け出すのだ。

車を飛ばしながら、彼女は携帯電話を出し、彼女の昔のエージェントに電話をし、会う約束をした。

そのエージェントとは、シャーリーンが世間から袋叩きにあっていた時、恋人同士だったのである。だが、彼女の人気が落ち始めるとすぐに、彼はシャーリーンを手りゅう弾を投げるように、捨てたのである。後に、彼女はそのエージェントがフェイスブックで彼女のことを貶しているのを見つけた。いかがわしそうな女と一緒の写真が乗っていたし、交際欄の情報が「独身」と変えたのも知った。電話1本、よこしたことがない。なのに、せっせとフェイスブックの更新か!

そのエージェントの名はスティーブ。シャーリーンはスティーブと愛し合っていたものと思っていたが、彼の方はその気がなかったのは明らかだった。それを知った傷心が動機で3冊目の本を書いたのだが、彼女の自信は2冊目の本の失敗と、公の場での侮辱によって、すでに粉々になっていた。当然、3冊目もうまくいくかどうか、自信がなかった。

だが今は違う。新しく自信を取り戻していた。この原稿はこれまで書いたうちで最高傑作だとの自信があった。スティーブとの件を片づけた後なら、出版にこぎつけるはず。

シャーリーンから電話を受け、スティーブは驚いたが、ディナーを一緒にすることに同意した。ひょっとしたら、もっとお金を巻き上げることができるかもしれないと期待してだった。

シャーリーンは電話をした後、とある高級デパートへと向かった。そして、そこで様々なセクシー・ランジェリーを買い、また普通の下着、スカート、ドレス、パンツやトップを買った。思いつく次第に全部、買い漁った。

彼女はこの3年間、食べ物以外ほとんどお金を使わなかった。その間にも印税が少しずつ溜まっており、経済的にはかなり裕福になっていたのである。

買い物をした後、ヘアドレッサで髪を整え、メイクもしてもらった。メイクとはいえ、彼女の肌はあまりに素晴らしかったので、必要なことはちょっと口紅を塗り、眼のあたりにちょっと化粧を施すだけで充分だった。たったそれだけで、彼女は「開いた口がふさがらないほどゴージャスな女」に分類される女性たちの仲間に加わったのである。

*****

エル・ファウノの店に颯爽と入るシャーリーンを見て、すべての男たちも、そして女性も何人か、振り向いた。身体の曲線を最大の効果をもたらすように強調しつつ、さりとてそれほど淫らな印象を与えない赤いタイトなドレス姿のシャーリーンを見て、誰もが振り向かざるを得なかった。その彼女を見る男たちの中に、スティーブもいた。うっとりとしてこちらを見た後、ようやくシャーリーンだと分かったのか、改めてこっちを見直している。

「わーお! シャーリーン! すごいよ! 何て言うか、変わったと言うか、いや、前よりずっと素敵になってる!」 とスティーブは彼女と握手し、席に着くよう促した。

シャーリーンはにっこり微笑んだ。「ありがとう。あなたも素敵よ」

実際、シャーリーンの言葉にウソはなかった。スティーブは体の管理をしっかり続けていたし、高級スーツを着てるせいか、実にハンサムに見えた。シャーリーンは、スティーブの姿を見て、昔の恋愛感情が再び湧きあがってくるのを感じたが、その気持ちを押し殺し、この男にどんなに傷つけられたかを改めて思い出し、彼女のちょっとした計画の推進に着手した。

明るくにっこり微笑んでいると、彼の視線が胸の谷間にふらふら落ちるのに気づいた。シャーリーンは咳払いをして、彼に顔を前に向けるよう促し、そして言った。「ちょっとビジネスのことでお話ししたいことがあって呼んだの。でも、その前にその後、お互いにどうだったかお話しをしながら食事をしましょう」

スティーブは同意し、その後10分ほど、ふたりは赤ワインを飲みながらおしゃべりをした。スティーブはしょっちゅう視線を彼女の胸に向けていたし、シャーリーンの方も、髪の毛をいじったり、彼のつまらないジョークににぎやかに笑ったりして、色気を振りまいた。

ふたりの会話は間もなくセックスの話題に変わっていった。

「あのね、スティーブ? あなたと関係でなくなってしまって、とても寂しかったことがひとつだけあるの。それはセックス。私、毎日、ずっとエッチな気持ちになっていたの。でも、そんな私の渇きを癒してくれる人が誰もいなくって…」

「本当? 何なら、僕にまたご奉仕させてもらえるかな? なんちゃって…」 とスティーブはウインクした。

シャーリーンは席から立ち上がって言った。

「もちろん!」

そして呆気にとられてるスティーブのネクタイを掴み、それを引っぱりながらトイレへと向かった。


[2014/01/06] 本家掲載済み作品 | トラックバック(-) | CM(0)

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