「よろしい。確かめて見ましょう」
マリアはそう言って私の方を向き、私に立ち上がるように手振りで示した。それから私をキッチンに連れていく。
「どう思う?」 マリアは小声で訊いた。
「本当に信じられないわ!」
「ベンがその覚悟ができてるか、もうちょっと確かめなくちゃいけないの。分かるでしょう? だから、もう少し、ただ見ていて」
「分かった」
「本気で言ってるからね・・・どんなことがあっても、決して邪魔をしないこと! いいこと?」
ほとんど、私を叱りつけるような調子だった。どうして、そんな顔で言うのか分からなかった。
「何をするの?」 よく分からぬまま、少し訊いてみた。
「まあ、ベンに、いくつかあることをさせるわ。彼に実際のことを教えるため。あなた、邪魔しないわよね?」
「え、ええ・・・多分」
「ちゃんと言って。『私は邪魔しないと約束します』って」
「マリア!!」
彼女はまた表情が変わってる。
「・・・分かったわ。私は邪魔しないと約束します!」
「よろしい」
マリアの顔にまたあの笑みが戻った。彼女はその後、私をリビングに連れ帰り、手振りで座るように指示した。それから、もう一度、ベンの前に立つ。彼は、裸のまま、まだそこに立っていた。
「命令に従う心づもりはできてるか?」
「はい、女王様」
「命令には素早く従うように」
「はい、女王様」
「ひざまずきなさい」
ベンはひざまずいた。マリアは、少し引きつったような笑い声をたてた。突然、私は、自分が思うほどマリアのことを知ってはいなかったのではないかという思いが頭に浮かんだ。
「よろしい。私は鞭を取ってくることにする」
マリアはそう言って、部屋から出た。すぐに戻ってきたが、その時には手に小さな鞭を持っていた。
「これから、お前に何回か鞭を振るうことにする。お前に、その感覚を教えるためだ。・・・声を立てないよう努めよ」
私はじっと見詰めていた。彼女は位置につき、軽く試し振りをし、その後、ベンのお尻を叩いた。彼はハッと息をこらえたが、その他では音をたてなかった。マリアはそれを見て微笑み、もう一度、そしてさらにもう一度、鞭を振るった。