「裏切り」 第10章 始まりあるものは… Betrayed Ch. 10 Everything That Has A Beginning... by AngelCherysse
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これまでのあらすじ
ランスは、妻のスーザンとジェフの浮気を知りショックを受ける。ジェフがシーメール・クラブの常連だったのを突き止めた彼はそこでダイアナと知り合い、性交渉をもつ。それは彼の隠れた本性に開眼させる経験でもあった。やがて彼はダイアナと付き合い始め、女装をしリサという名前をもらった。そんなある日、会社の美人秘書アンジーに正体を見透かされる。そしてリサの姿でレストランに行くと、そこには会社の上司であるジムとロブがいた。リサは自分が昇格したこと、およびランス=リサであることがバレていることを知らされる。その頃、ジェフを中心としてランスを陥れようとしてる陰謀が進行しているのを知る。陰謀の内通者がいる。それが誰なのかを探るため、有名人パーティに出たリサは、ジェフと会い、口唇奉仕をしたのだった。
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あの日曜の夜、ダイアナがロスアンジェルスからの飛行機から降り立った時、できることなら、オヘア国際空港のゲートで彼女を待ちたかった。でも、それはできず、代わりに手荷物受取所で待たなければならなかった。交通安全局のセキュリティ関係で働いてる人にはユーモアのセンスがない。まあ、自給8ドルの仕事なので、ユーモアを解する余裕がないのも仕方ないかも。
他の乗客たちは、手荷物を運ぶコンベアーベルトの真ん前で、かなり濃厚なショーを見せられ、もてなされた。悩殺ボディのブルネット美人とブロンド美人が、まるでアダルト・ビデオからそのまま出てきたように、抱き合い、キスし合うのを見せつけられたから。
その夜は、レイクビューにあるダイアナのマンションでなく、私のマンションに行くことにした。私は「ダメ」の返事は受けつけなかった。ダイアナはちょっとためらったものの、すぐに喜んで従ってくれた。
彼女は、その夜、私と過ごすことになるのを想像し、純粋に安心しているみたいだった。オヘア空港からシカゴ市内に通じるケネディ高速道路を走る間ずっと、彼女は私の腕に腕を絡ませ、私にすり寄っていた。ふたりとも言葉を交わすことなしに、ただ身体を寄せあっていることで多くのことを語り合った。ダイアナの私へのこの反応と、彼女がジェフ・スペンサーへの内通者として私に罠をかけていることを示す証拠がますます増えている事実。どうしたら、このふたつのつじつまを合わせることができるのだろう。私は内心、つらい気持ちだった。
ダイアナは緊張し、何かを恐れているようだった。原因が何であれ、彼女は、その件について話そうとはしなかった。オハイオ通りで高速を降りた時、携帯電話が鳴った。私の携帯ではなかったし、いつものダイアナの携帯でもなかった。着信音はヒップ・ポップの曲のようだった。私はダイアナのハンドバッグに目をやった。彼女は窓の外を見ていた。
「無視して」 とダイアナは何事もないような感じで言った。
「でも、これって…」
「いいから、無視して!」 とダイアナは私を睨みつけ、きつい声で言った。「今夜は、あなたとだけの時間にしたいの。他の誰とでも、あなたを分かち合うつもりはないわ。特に、アンジェリーナ・トーレスとだけは」
急襲!
いや、実際には急襲と言うほどでもない。ダイアナはアンジーが私の個人秘書になってるのをすでに知っている。それに、ロブのコンドミニアムでのあの最初の夜、私がアンジーとセックスしたこともダイアナは知っている。あの夜のことについてはすべてダイアナに話したから。それを話した後は、それにダニエルとの「デート」について言い合いをした後は、ダイアナは、ちょうど私が彼女のことに探りを入れなくなったのと同じく、私のその後の付き合いについても、しつこく聞くようなことはなくなっていた。ふたりだけの時は、お互いのことにだけ集中し、他の人のことは話さないというのが、彼女と私の間の暗黙の了解になっていた。ダイアナとアンジーのふたりに対する感情で、私は摩擦を感じていたので、この暗黙の了解はありがたかった。でも、今はその力学がダイアナの心の中で変化してしまったのかもしれない。
いったん部屋に入るとすぐに、このゴージャスなシーメールは、まるで1年もセックスしてなかったかのように私に襲いかかった。愛しあったというより、長時間にわたって狂ったように犯しあったと言った方が近い。互いの身体に爪を立て、甘噛みの跡を残しあい、ヒリヒリするほど乳首をつねりあい、そして痛いほどに互いの穴を広げあう…。
行為が終わり、ふたり、スプーンを重ねたように(
参考)なって横になった。私は彼女の腕に包まれていた。ふたりとも身体を震わせていた。肉体的にも感情的にも疲れ切って。