「あなたは、私が一生愛せる人として期待できるすべてを備えた人なの。その気になったら、あなたを私から別れられなくすることもできる。でも事態がいろいろ複雑になってきた。ええ、あなたとあの変態が関係してる。あいつがどれだけ大きいのを持ってるか、どうしてあなたが知ったのかなんて、知りたくもない。その答えを聞いたら、気分が悪くなる予感がするから…
「…だから、ジェフリー・スペンサー氏についてのモヤモヤは、一度すっきりさせることにしない? さしあたり、あの男の驚異の一物のことは考えないこと。あの部分以外のところでも、あいつがどれだけ大きいか、どれだけ逞しいか、気がついた? あの男は大学に入った時からステロイドを服用してるの。私に告白した。そのおかげで、あいつは、あんなアメフト界で全米1と言える逞しい肉体を手に入れたのよ。だけど、競技場を出たら、ステロイドは正反対の効果を与えた。ええ、確かに、大きく素敵なおちんちんを持ってたんだろうし、たぶん、タマタマの方も高性能だったんじゃない? かつては、だけどね。ステロイドのせいでダメになったのよ。ちょっと勃起させるだけでも、小さな青色の錠剤がないとダメに…
「それが、私があなたに出会う2ヶ月ほど前に、がらりと変わった。彼のガールフレンド、というか、あなたの別れた奥さんね、彼女がジェフにペニスのインプラント手術を受けさせたの。そのおかげで、あいつは、今はセックスしたくなったら、ポンプであそこを盛り上げれば、それでOKになってる。あなたの別れた奥さんのおまんこにはそれで気持ちいいんでしょうよ。でも、私の場合は、毎回、身体が引き裂かれそうな気分になってるわ…」
「じゃあ、どうして続けてるの?」 私は泣き声になっていた。「あいつにサヨナラのキスをして、あの場所を出て、さらに必要ならあの生活からも抜け出て、私のところに来たらいいのに。どうして?」
ダイアナはしばしシーツを見つめた。考えをまとめているようだった。そして、毅然とした様子で話し始めた
「そこが複雑なところ。できないのよ…。いまは、その話しに入りたくない。フェアじゃないのは知ってるけど、でも、私、あなたを守ろうとしてるの。だから、あまり私に話しを強要しないで。あなたに話せるのはここまで。ステロイドのせいで、あいつは精神まで犯されているということ。あいつが怒りだしたところ見たことないでしょう? 見たいとも思わないだろうけど」
「ダメだ、ダイアナ! あいつから離れるんだ。あの男が君を殴っていると思っただけで、絶対に、私は……」
「ヤメテ!」 ダイアナは金切り声を上げた。「まさにその理由で、あなたにすべてを話したくないのよ。あなたの中には、何か勇敢で、高貴で、そしてマヌケなことをしそうな『男』の部分が残ってるから。あの男なら、あなたを10セントの釘を木に打ち付けるように簡単に殴り倒して、他の男たちとピザとビールを飲み食いに、さっさと立ち去るでしょうね。私は自分がしてることを自覚してるわ、リサ。いまはしっかりした女になってる。自分のことは自分でできるわ」
「そんなこと必要ないのに。私たちであなたを助けていけるのに。私もこの件に関わってるのを忘れた? あなたを守るためなら、全部、手放すわ。仕事もマンションも、服も、車も何もかも。これから一生生活していくのにかかるお金よりもっとお金を持っている。どこにでも行けるわ。いまの状況から抜けて、一緒に歩き出せばいいだけ」
ダイアナは優しく唇にキスをしてくれた。涙が彼女の頬を伝った。
「あなたなら、そうするでしょうね? あなたは本当に正しいボタンを全部押してくる。これ、あなたが言った言葉だわ…」
月曜の朝、私とダイアナは一緒にシャワーを浴び、着替えた。ダイアナはタクシーで自宅に戻ると言い張った。私には彼女の家に近づいて欲しくないと。私は、嫌々ながら、彼女に別れのキスをし、彼女をタクシーに乗せ、そして、自分の職場に行った。