2ntブログ



裏切り 第10章 (4) 


ダイアナと別れた後の1週間、感情的には起伏の激しい週だった。アンジーと私は、ポールの指導のもと最後のリハーサルをした。ポールによると、ダイアナは別の時にポールに会ったらしい。来たる週末に対して、興奮もしていたし、恐れも感じていた。

この週はトレーディングの仕事には完全に近づかないようにした。こういった精神状態では自分の直感を信じることができないから。

ダイアナに何度か電話し、留守番電話にメッセージを残した。ダイアナはかけ直してくれなかった。金曜日、その日の大半を職場のオフィスの窓際に立って過ごした。腕を胸の前に組んで、ラサール通り(参考)を眺めて過ごした。

午後4時ごろ。アンジーが私の後ろに近づいていたことすら気がつかなかった。アンジーは両腕を私の脇に差し込み、後ろから優しく抱きしめてくれた。その人間的な接触をありがたく感じ、私は後ろのアンジーに身体を預けた。

「ミーハ(参考)、こんなところで時間を潰してたのね」 と彼女は甘い声で言い私を落ち着かせた。「今のあなた、1000マイルも遠くにいるみたい。ロブもジムもシャーリーも、もう出かけているわ。スタッフの大半がむしゃむしゃ食べてるところ。この週末のイベントに備えてね。私たちだけで、このお祭り騒ぎの打ち上げを前もってやっちゃうのはどう? ノース・ピア(参考)に行って、ディックズ・ラスト・リゾート(参考)で脂っこいあばら肉を食べて、ハリケーン(参考)を飲んで楽しむの。それから、互いの指を舐めあってきれいにし、天井の扇風機にナプキンを投げて、あそこのウェイターたちのように他のお客さんたちを侮辱するの。それとも、船着き場に行って、ボートを見てもいいわ。一番良さそうなボートを選んで、オーナーに何気なく話しかけて、こう持ちかけるのよ。私たち一番露出度の高いビキニを着て、デッキで日光浴するから、私たちを乗せてクルーズしてって。そうしたら、そのオーナーさんすごくクールに見えると思うけど、どう? ってね。その後、街に戻ってあなたの家に行って、あなたと私で気を失うまでセックスするの。どう? いいプランだと思わない?」

もう本当に、良さそうなアイデア。何から何まで。この5日間、ずっと感じてきた緊張感。それをほぐす何かが欲しかった。ディックズでハリケーンを飲んで酔っ払い、大騒ぎをしたら、確かに緊張がほぐれるだろう。もしここに戻ってくる時に、酔っぱらってグラスを落として割ったりしなかったら、キッチンの食器棚にどんどん増えてるチューリップ・グラスのコレクションにまた新たなコレクションを加えることもできる。アンジーとセックスするというのも、すごく良さそうに思った。こんなことを考えるなんて、何て私は酷い人間だろう。たった5日前に、ダイアナとベッドを共にし、彼女を愛していると言ったのに。なのに今は、アンジーを家に連れ込んで、彼女を揺さぶりたい、あるいは彼女に揺さぶらられたいと思ってるなんて。私は誰を裏切ってるの? ダイアナ? アンジー? それとも両方を?

私はアンジーの方に向き直って、彼女を抱きしめた。

「アンジー、本当に楽しそう。ラム酒を飲んで、エッチっぽくなったあなたを抱いたり、そんなあなたに抱かれたりすること、何もかも。でも、あなたと安っぽく、意味もなくセックスするというのは今は良い考えかどうか、はっきりしないの。これまで、誰か他の人を考えたことはないの? 誰か、もっと……」

仕事において、アンジーとずいぶん長いこと一緒に働いてきたけど、こんなふうに泣き崩れる彼女を見たことがなかった。彼女は私の抱擁を振り払い、泣きながら私のオフィスから走り去った。私も、ハイヒールを履いていたけれど、彼女を追いかけて走った。追いついた時には、アンジーはすでにバッグを持って、デスクにカギをかけているところだった。彼女の腕に手を添えると、彼女は私に目もくれず、私の手を払いのけた。今度は彼女の両腕をしっかり押さえ、こっちを向かせた。ヒールを履いていても、私たちはほとんど同じ背の高さだった。

「どういうこと?」 と私は強く訊いた。

アンジーは私の視線を避け、もがいて逃れようとし、かな切り声を上げた。「離して! 誰か他の遊べる女を探しなさいよ!」


[2014/02/06] 本家掲載済み作品 | トラックバック(-) | CM(0)

コメントの投稿















管理者にだけ表示を許可する